当記事では公開日時点でのFIT認定されている1,000kW以上の各バイオマス発電所の情報や、公開されたことのある求人などをまとめています。
一応、建設予定のバイオマス発電所についても建設予定が確定していたり、情報が明確に開示されているものはなるべく載せていきます。
今回は東北地方6県（青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県）のうち、青森県と岩手県のバイオマス発電所についてご紹介します。
現在FIT認定されて運転している東北地方のバイオマス発電所は、僕の調べた所青森県で4件、岩手県で7件ほどになっています。
燃料の略称はWC：木質チップ（未利用材、一般木材、建築廃材含む）、WP：木質ペレット、PKS：ヤシ殻となっています。
青森県
【2015年12月運開】津軽バイオマスエナジー
産廃処理会社のタケエイが主要株主として出資し建設されたバイオマス発電所。
ボイラーはタクマ製の流動床式を採用しており発電出力は6,560kW。
筆頭株主である㈱T・Vエナジーホールディングスは、バイオマス発電をはじめとする再生可能エネルギー事業を共同で行うことを目的として設立したタケエイとヴェオリア・ジャパンとの合弁会社。
燃料は津軽地方の間伐材やりんごの栽培過程で発生する剪定枝などから作られた木質チップで、地元の農林事業者等で設立された「津軽バイオチップ株式会社」から供給を受けている。
保守運営を担うのはフランスのパリに本部を構える「ヴェオリアグループ」のVTエナジーマネジメントで、母体が外資系のため年棒制との情報。
当初は補助燃料としてPKSを利用していたが価格高騰で使用できなくなったため、2022年よりもみ殻を成型した固形燃料を製造する機器を導入し補助燃料として使用しているらしい。
※ただしもみ殻は稲刈りの終わる10月～11月に排出が集中したりシリカ分が多いなどで不安面も多い
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【2018年1月運開】八戸バイオマス発電所
住友林業、住友大阪セメント、東日本旅客鉄道が出資し共同で設立した。
ボイラーはJFEエンジニアリング製の流動床式を採用しており発電出力は12,400kW。
燃料の木質チップは、主に青森県の間伐材や一部パームヤシ殻も使用し、みちのくバイオエナジーから全量を調達する。主に林地未利用材を使用。
燃焼灰は、セメントの原料として住友大阪セメントグループの八戸セメントが再利用する。
運転・保守は八戸セメント株式会社が業務委託されている。
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【2019年5月運開】エム・ピー・エム・王子エコエネルギー
王子ホールディングスの 100％子会社である王子グリーンリソースと三菱製紙株式会社の合弁事業会社。三菱製紙八戸工場構内に設置されている。
ボイラーはJFEエンジニアリングと業務提携するフィンランドのバルメット社の循環流動層式を採用しており、発電出力は74,950kW。
燃料は輸入チップとPKS、助燃料に石炭も使用。
設備運営は三菱製紙のグループ企業であるエム・ピー・エム・オペレーション株式会社、燃料調達は王子グリーンが行っているとのこと。
http://www.oji-green.co.jp/business/pdf/MPMOjiEcoEnergy_light.pdf
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【2024年12月運開予定】曽我バイオマス発電
株式会社曽我産業が設立して取り組むバイオマス発電事業。
ボイラーはタクマ製を採用しており、炉形式は不明だがストーカ炉または流動床式だと思われる。
燃料は主に青森県内や近隣の山林から搬出される林地残材、間伐材等の未利用材などを燃料として1,990kWの発電を行う。
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岩手県
【2000年7月運開】釜石製鐵所石炭火力発電所
新日鐵住金の釜石製鐵所石炭火力発電所。
ボイラーはIHIの微粉炭式を採用しており発電出力は149,000kW。
もともと石炭専焼ボイラーで2000年7月頃に稼働しているが、木質バイオマス資源を石炭と混焼することにより省エネルギーと温室効果ガス削減等を図る為2010年10月より木質バイオマスの混焼を開始。その後も事前破砕設備を増設するとともに、ボイラー設備および木質バイオマスと石炭の受入設備を増強・改造して2013年11月頃にFIT IDを取得している。現在の最大混焼比率は約25％ほど。
おそらく製鐵所社員により運営されていると思われる為発電所単体の求人は見つからず。
【2014年4月運開】ウッティかわい
ウッティかわいは、もともと国産カラマツやスギを利用した集成材、製材の事業を行っている会社であり、2014年よりバイオマス発電事業に参入した。
ボイラーはタクマ製の流動床式を採用しており発電出力は5,800kW。
燃料には国内の未利用材や工場残渣を使用し、自社工場にてチップ化して供給している。
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【2016年5月運開】一戸フォレストパワー
株主はフジコーで、建設工事現場で発生する木くずやがれき等の産業廃棄物を中心とした各種廃棄物の中間処理業者。
ボイラーはタクマ製の流動床式を採用しており発電出力は6,250kW。
燃料は未利用材や製材所で発生する製材屑で、同社でチップ化まで行っている。
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【2016年7月運開】野田バイオパワーJP
日本紙パルプ商事が主要株主にて建設された発電所。
燃料には未利用材などの他バークが使用されており、水分が多いバークを安定燃焼させるようアンドリッツ社（オーストリア）製の流動床ボイラを日本で初めて導入している。発電出力は14,000kW。
ネットで調べている時に分かったのですが、この会社では2016年7月15日にドラム点検中の作業員が内部に吸い込まれて死亡する事故が起きていたり、2019年には安全基準を満たしていない焼却灰を不適切に処理していたことが発覚し社長が解任されたりしてました。
何かと不安な会社ですねぇ・・・
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【2017年2月運開】花巻バイオマスエナジー
筆頭株主は青森の津軽バイオマスエナジーと同じ㈱T・Vエナジーホールディングスで、バイオマス発電をはじめとする再生可能エネルギー事業を共同で行うことを目的として設立したタケエイとヴェオリア・ジャパンとの合弁会社。
燃料は国内調達の木質チップで、地元の農林事業者等で設立された「花巻バイオチップ株式会社」から供給を受けている。
保守運営を担うのはフランスのパリに本部を構える「ヴェオリアグループ」のVTエナジーマネジメントで、母体が外資系のため年棒制との情報。
2016年6月15日の当発電所建設時、タービン建屋の梁上で天井クレーンを設置する工事中、作業員が５ｍ上から転落死死亡する事故があった模様。
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【2020年1月運開】大船渡バイオマス発電所
イーレックスと太平洋セメントの共同出資で誕生したバイオマス発電所で太平洋セメント大船渡工場内に建設された。
ボイラーはJFEエンジニアリングが業務提携しているフィンランドのバルメット社の循環流動層式を採用しており、発電出力は75,000kWと2023年度内ではバイオマス専焼で岩手県最大級。
燃料にはPKSの他EFB（Empty Fruits Bunchの略。パームヤシの房から実を取り出した後に残る空果房）を使用しているとのこと。
公開されている求人情報は見つからず。
太平洋セメントの工場敷地内なので、従業員も太平洋セメントから来ているのかもしれません。
【2026年1月運開予定】古里FICエネルギー
岩手県盛岡市で木材輸送やチップ加工を手掛ける古里木材物流と、中部電力・稲畑産業らが進めているバイオマス発電所。2025年4月より建設工事を着工し、2026年1月中には運開する予定。
ボイラーはタクマ製を採用しており炉形式は不明だが恐らくストーカ炉または流動床式と思われる。発電出力は1,990kW。
使用燃料は県内の未利用材や林地残材のバイオマス専焼。
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