バイオマス発電所のトラブル【磁選機詰まり】

発電所の日常

バイオマス発電所で使用する燃料を炉内まで搬送するコンベア。

プラントの規模や搬送する燃料によってチェーンだったりベルトだったり様々なタイプのコンベアがあるのですが、共通して言えるのは異物に弱いという点ですね。

木屑燃料の中でも建築系廃材や剪定材といった質の悪い燃料には、木屑以外にも石・砂・釘・金物といった異物が入り込んでいます。

こういった異物が多いと炉内で堆積して砂の流動性が悪くなり燃焼しにくくなったり、炉底から抜き出すボトムアッシュの量が増え産廃処分費用が増えたり、釘や金物はコンベアのケーシングや炉内の配管を摩耗させたりするのでメリットは何もありません。。。

なのでどこのバイオマス発電所でも燃料の異物をどうすれば減らせるかに躍起になるのですが、金属類を除去する方法として最もポピュラーなのが「磁選機」と呼ばれる機械を導入することではないかと思います。

磁選機とは?

直流電源により強力な磁力を発生させる磁石が備えられており、燃料に含まれる金属類がこの磁力に引き寄せられて磁選機にくっついて燃料と金物を選別する設備です。

安い設備だとくっついた後の金物は人力で除去しなければなりませんが、しっかりした磁選機ならば磁石にくっついた金物を自動で連続除去してくれるものもあります。

弊社では今回、お試しということで人力で金物を除去する安い設備をコンベアに設置することになりました。

トラブルの連続

今回は図のようにコンベアの中間に磁選機を設置して、除去できる金物の量に応じて随時運転員が人力で金物を除去するという計画でした。

ちなみにこの件で運転員さんからは

対応する頻度が多くなるなら点検や現場作業に支障が出るのでは?

夜間は仕方ないとして日中はそっちでも手伝ってよ!何でもかんでも運転に振ってくんな!

夜勤で寝れなくなるじゃん

と、夜勤で寝れないのは知りませんが当然仕事が増えることに反対意見が続出するも、所長のゴリ押しで決定しました。

・・・が、いざ設置して見たらこれがトラブルの連続!!

具体的にはコンベアと磁選機のクリアランス(隙間)部分で燃料が詰まってしまい搬送不良→炉内失火というトラブルが1週間で2回も発生しました。

この他にも搬送不良になりかけたことで運転員さんが必死に除去し何とか復旧で来たトラブルも頻発し、これではとても仕事にならないということで磁選機とコンベアのクリアランスを詰まらないように充分広げた所、今度は金物が全然取れない!

その後も試行錯誤しましたがどうにも解決策が見当たらず、設置してたった2週間しか使われていない磁選機は結局ガラクタと化しました。

設置する磁選機の候補の中にはもっと強力な磁力で除去する据付型の設備もあり、高価ではありますがそういった設備を導入していればこうはならなかったかもしれません。

まさに「安物買いの銭失い」を体現したトラブルとなりました・・・

チャーメン
チャーメン

燃料の異物や水分を出来るだけ除去したいと言うのはバイオマス発電所の宿命ですね

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