バイオマス発電所のお仕事について【運転員達の1日】

バイオマス発電について

前回の記事でバイオマス発電所の運転員の仕事内容について説明しましたが

もっと具体的に1日どういった感じで過ごしているの?

そんな疑問を持った方もいらっしゃるかもしれません。

バイオマス発電所の運転員といっても大~小規模だったり組織や人数の違いだったりでやらないといけない仕事は千差万別ではありますが、今回は僕が運転員として経験してきたバイオマス発電所で一番忙しかったところを例として1日の流れをご紹介致します!

勤務時間と人員

バイオマス発電所は基本的に24時間運転なので、運転員の勤務は夜勤も入ってきます。
よって24時間のうち8~12時間をシフト勤務で回しています。

3交代の場合、1直8~16時、2直16~24時、3直24~8時というパターンが多いです。工業地帯や都市部に近い所だと出勤の混雑を避けるため1~2時間始まるのが早い勤務もあります。

2交代の場合、1直8~20時、3直20~8時となり、3交代と同じく1~2時間始業が早いパターンもあります。

人員は中央制御室の監視担当と現場対応担当に必要な最低2人で、これはどんなに大規模なバイオマス発電でも多くて3~4名程度で賄えています。(大規模な所ほど自動制御化が進んでいて監視係しかいらない&他の業務担当の人員が多いから)

今回の紹介では、最も多いと思われる中規模バイオマス発電所で重機による燃料投入業務のある1班2名体制、および3交代シフトパターンを想定しています。

1直の流れ(8:00~16:00)1班2名+日勤1名体制

1直は業者や工事、燃料・用役受入対応など仕事がたくさんある為、交代勤務に入っている1班2名に加えて日勤者が1~2名ほど助っ人として入ることが多かったです。日勤者が休みや補勤対応でいない時は2名で全ての作業をしなければならないのでかなり忙しい日になります。

  • 7:45
    出勤~引継ぎ

    始業は8時からですが、引継ぎ業務を行っていると夜勤者の帰宅時間が遅くなってしまうので暗黙の了解で少し早めに出勤します。少し早く出勤しなければならないので損した気分かもしれませんが、逆に自分が夜勤だった時に定時でサッサと帰りたいので受け入れてました。

    引継ぎでは前の日の特記事項(トラブルや工事対応等)や、今日の予定(業者・工事対応、運転変更操作等)を引き継ぎます。この時、しっかりした人からならちゃんと引継ぎが出来るのですがちゃらんぽらんな人から引き継ぎを受けるとその日の勤務中にいきなり知らない工事対応や運転対応を聞かされてビックリします。

    よってそういった人から引き継ぎを受ける勤務の時は、後からスタッフの人に「今日なんか運転員の対応ってありますか?」と聞くこともあります(笑)

    引継ぎ後は1名は中央制御室で監視業務担当、もう1名は現場担当に分かれます。
    監視業務担当者は中央制御室から離れられないので、現場担当の人が事務所で朝礼に参加します。

  • 8:00
    朝礼~ラジオ体操

    全従業員で朝礼を行い、それぞれのスタッフや部署の予定や来客の有無などを報告します。
    製紙会社時代はこの朝礼時に一言スピーチみたいなものがあったので、自分が担当の時はネタを考えたりしてました。

    朝礼終了後はラジオ体操を行います。

  • 8:30
    中央制御室での監視業務と重機での燃料投入業務

    炉内への燃料供給のためにホイールローダーを使ってホッパーへ燃料を投入する業務を行うため、班の2名のうち1名は中央制御室で監視業務、もう1名は重機で燃料投入業務、日勤者が工事・トラブル対応を行います。

  • 10:00
    現場巡視点検+燃料投入作業

    現場担当は時間が空き次第設備の巡視点検を実施します。

    何事も無ければ10時ごろに一旦業務が落ち着くので、大抵この時間から点検を始めます。
    点検中に燃料投入が必要になった場合は点検を中止して投入業務を優先させますが、日勤者の手が空いていれば日勤者にお願いして燃料投入作業を代わりにやってもらうこともあります。

    点検では大体1時間くらいかけて確認します。

    適当な人だと目視でサッと見てすぐ終わる人もいれば1個1個を慎重丁寧に見る人もいますが、当然後者の方が不具合をよく発見して対応できるので信頼感が上がります。

    またこの時に不具合が発見された場合、配管の穴あきや圧力計不良など軽微なものであれば運転員で対応します。

    モーターから変な音がするだとかコンベアのチェーンに割れがあると言うような運転に影響する重度なものはすぐスタッフへ報告して、ボイラーを止めて補修するか予備品を確保しておき壊れるまで使用するかなどを会議で決定します。

  • 11:00
    昼ごはん(監視担当)

    中央制御室にて監視業務担当は引き続き監視を行いながら、そのまま中央制御室で昼休憩を取ります。

    交代勤務ではまとまって1時間休憩などがとりづらいので、時間が空いた時を見計らって各自好きな時間で昼休憩を取ることが多いです。

  • 12:00
    監視と現場で担当交代

    8時間ずっと監視業務や現場作業をやり続けるのは大変なので、僕のいた発電所では8時間勤務のうち4時間で監視と現場担当を交代していました。

    ここで午前中現場を担当していた人は中央制御室で監視業務を行いながら昼休憩を取ります。

    監視業務担当は先ほど昼休憩をとっていたので現場で燃料投入作業を行います。

    ちなみに、昼ご飯を食べてからの午後の監視業務は眠気との戦いになります!
    お腹いっぱいになってひっじょ~に眠たい中での監視業務は結構辛いです。

    また現場担当も午前中は燃料受け入れや灰出し作業などが忙しいですが午後からは落ち着いて燃料投入作業のみ行えるので、1直の勤務は「午前中に監視担当で午後から現場担当」の方が良いという人が圧倒的に多いです。

    たまに「午前中に現場やって昼はのんびり監視したい」というタイプの人がいるのですが、その人と組むとずっと午後から現場担当になれるので人気者です(笑)

  • 15:45
    2直者に引き継ぎ

    16時からの2直者がやってくるので、1直の監視担当はその日あったトラブル、工事、運転対応などを引き継ぎます。業務が落ち着いていれば現場担当も戻ってきて4名全員で引継ぎを行います。

    ここで1直者は終了です。2直者の引継ぎで雑談などが盛り上がった日にはそのまま2直監視担当の人と話し込んだりします。

2直の流れ(16:00~24:00)1班2名体制

2直までには大抵の作業は終わっているので、工事が残っていればその対応をするくらいで基本的には監視と燃料投入作業に終始することが多いです。

  • 16:00
    監視・燃料投入作業

    引継ぎ終了次第、1直と同じく監視担当と現場担当に分かれてそれぞれの業務を行います。

    トラブル対応や工事などがまだ終わっていない場合は日勤者に対応してもらうか現場担当がそのまま1直者から引き継ぎます。

  • 17:00
    巡視点検

    17:00以降は管理職含む日勤者が退社し始めるので、それまでに現場で不具合が無いかを再確認しておくために2直の巡視点検は勤務開始後早めに行っておきます。

    この時間以降は発電所内には運転員以外は誰もいなくなりますが、こうなると班や人によってはスマホ弄ったりネット見たりゲームしたりと結構やりたい放題し出します(笑)

    仕事中は資格勉強禁止の所でも班員さえ黙っていればこの時間以降であればやっていいと言う人もいるので、勉強している人もいます。

  • 20:00
    監視と現場で担当交代

    1直と同じく4時間で担当を交代します。

    2直は前半が監視業務だとまだ日勤者がいてサボれないので、1直と変わって「前半が現場担当、後半が監視担当」の方が人気になります。

    ここでも「後半監視担当だと眠いから前半監視担当の方が良い」という人がいると人気者になります。

  • 23:45
    3直へ引き継ぎ

    24時からの3直者がやってくるので1直含む1日の引継ぎ事項を3直者へ引き継ぎます。

3直の流れ(24:00~8:00)1班2名体制

3直ではよほどのことが無い限り現場でやらないといけない仕事はありませんが、運転日報や日誌、用役発注など事務作業がまぁまぁあります。

夜勤は時間が経つほど眠気との闘いになるので、やれる仕事は早めに終わらせて速やかに仮眠がとれる体制を作っておきます。

  • 24:00
    監視・燃料投入作業

    引継ぎ終了次第、2直と同じく監視担当と現場担当に分かれてそれぞれの業務を行います。

    現場担当は夜勤中はさっさと寝たいと言う人が多いので、引継ぎ終了してすぐに巡視点検を終わらせる人が多いです。

  • 24:30
    ボイラー運転日報作成(監視担当)

    24時を過ぎたら、バイオマス発電所で1時間当たりどれくらい燃料を入れたとか、蒸気量が出ていたかなどが記録された運転状況を積算した運転日報というものを作成します。

    これで1日当たりの運転状況を知ることが出来ます。

    この運転日報のデータを効率日報というものに入力して、ボイラー効率や発電効率、蒸気原単位などを計算します。

    ここでも人によって「燃料量が増えてるから灰も多くなるけど灰タンクのレベルまだ余裕あるかな?」とか「給水量増えてるけどどっか漏れてない?」とか「ボイラー効率落ちてるけど今使ってる燃料の含有水分多いのか?」など色々数値を見て細かく考えられる人や何も考えずに数値だけ打ち込んで印鑑押して終わり!と言う人もいます。

  • 2:00
    仮眠

    現場担当は燃料投入作業はありますがこの時はホッパーに多めに燃料を入れておき、1~2時間くらい仮眠を取ります。

    仮眠室などは無いので仮眠場所は人それぞれで、ホイールローダーの運転席でそのまま寝てたりタービン室で寝てたり、中央制御室に戻ってきて寝てたりします。

    ちなみに何事も無ければ中央制御室の監視担当も一緒に寝てたりします。

  • 4:00
    監視と現場で担当交代

    担当交代後は再度燃料を多めに入れておき、二度寝したりします(笑)

    僕のいた発電所では深夜割増手当がつく(22:00~5:00)のうち、2時間分は休憩時間という意味不明な理由により割増賃金が付かない所だったので、運転員達には「2時間分は絶対仕事しない」という共通認識がありました。

    なので多少強引にでも最低2時間は仮眠してました。

  • 7:00
    運転日誌作成(監視担当)

    夜勤終了1時間前くらいには1日のトピック(トラブル、運転事項)などを運転日誌に記入しておきます。

  • 7:45
    1直へ引き継ぎ

    次の日の1直者がやってくるので昨日と同じ班なら1日分、しばらく休みだった班なら数日分の引継ぎを行います。

    数日分の引き継ぎをする時は工事案件や運転事項などをよく報告しておかないと、最初の1直の説明にも書いた通り1直者がいきなり知らない作業をすることになって後から怒られるので、よく注意して引き継ぎ漏れの無いようにしなければなりません。

    引継ぎが長引いて8時以降のスタッフと鉢合わせると「何かなかったか?」「あの不具合あったとこ大丈夫だった?」など色々面倒なこと聞かれるのでさっさと帰ります。

以上が僕のいたとあるバイオマス発電所の運転員の1日スケジュールになります。

燃料を重機で投入しなければならない所は常に現場に出ていなければならないのでとても大変です。

メーカーによってはタンクからローラーで自動搬送したり天井クレーンで自動運搬してくれる発電所もあり、そういった所では運転員の現場負荷が軽減され楽になります。

もしバイオマス発電所に就職を考えているのであれば、そういった所にも注視してみると良いかもしれません。

個人的に燃料は自動搬送してくれるところの方が楽で良いと思いますが、そうなったらなったで重機の運転が恋しくなりそう(笑)

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