当記事では公開日時点でのFIT認定されている1,000kW以上の各バイオマス発電所の情報や、公開されたことのある求人などをまとめています。(※木質チップ系燃料を使用した発電所に限定している為、木質系燃料由来のガス化エンジンやディーゼル発電所は掲載していますが、廃棄物由来のメタンガスを利用したバイオガス発電やパーム油発電所、ごみ焼却所等は除外しています。)
一応、建設予定のバイオマス発電所についても建設予定が確定していたり、情報が明確に開示されているものはなるべく載せていきます。
今回は四国地方4県(香川県、徳島県、愛媛県、高知県)のバイオマス発電所についてご紹介します。
現在FIT認定されて運転している各県のバイオマス発電所は、僕の調べた所香川県が1件、徳島県が3件、愛媛県が3件、高知県が6件ほどになっています。
燃料の略称はWC:木質チップ(未利用材、一般木材、建築廃材含む)、WP:木質ペレット、PKS:ヤシ殻となっています。
香川県
【2025年6月運開予定】坂出バイオマスパワー
四国電力、安藤ハザマ、プロミネットパワー、イーレックス、新光電飾、坂出郵船組らの出資で誕生したバイオマス発電所。2022年度に工事着工済みで2025年6月に運開予定。
燃料は輸入材の木質ペレット及びPKSを使用する。
ボイラーは住友重機械工業製の循環流動床式を採用しており発電出力は74,950kW。
求人情報はまだ確認できず。
香川県にはまだ1件もバイオマス発電所はありません。
今後坂出バイオマスパワーが稼働した場合、県内初の木質専焼バイオマス発電所となります!
徳島県
【2016年7月運開】徳島バイオマス発電所
倉敷紡績の阿南工場敷地内に建設された発電所。
燃料は間伐材などを使用し、チップ販売業者の徳信から供給を受ける。
ボイラーはクラボウエンジニアリング製の流動床式を採用しており発電出力は6,340kW。
運転管理には三井物産フォーサイトが行う。
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【2022年9月運開】王子グリーンエナジー徳島
王子ホールディングス100%子会社の王子グリーンリソースと伊藤忠エネクス100%子会社のエネクス電力が共同で設立したバイオマス発電事業。王子製紙富岡工場内の敷地に建設されている。
燃料は間伐材や輸入PKSなどを使用。
ボイラーは住友重機械工業製の循環流動床式を採用しており発電出力は74,950kW。
発電所の保守運営は王子製紙内の自社従業員にて行っていると思われる。
http://www.oji-green.co.jp/business/pdf/OjiGreenEnergy_tokushima.pdf
バイオマス専焼発電所としては徳島だけでなく四国最大級の発電所です!!
【2023年3月運開】徳島津田バイオマス発電所
レノバや大阪ガス、NECキャピタルソリューション、三菱電機クレジットなどが出資し設立したバイオマス発電所。
燃料には輸入材である木質ペレットやPKSを使用。
ボイラーはアンドリッツ社製の循環流動床式を採用しており発電出力は74,800kW。
発電所運転開始後の運営保守は施行主の日立造船のグループ企業であるHitz環境サービスが担当する。
求人情報
愛媛県
【2018年1月運開】えひめ森林発電松山バイオマス発電所
豊田通商のグループ会社でエンジニアリング業を手掛けるエネ・ビジョンが設立したバイオマス発電所。グループ会社にしまね森林発電がある。
燃料は間伐材などを主に約6割は愛媛県内森林組合の協力のもとに調達して使用し、残り4割は輸入PKSを使用する。
ボイラーはタクマ製のストーカ炉を採用しており発電出力は12,500kW。
求人情報
【2019年4月運開】内子バイオマス発電所
愛媛ペレット生産を手掛ける内藤鋼業主導でNECキャピタルソリューション、シン・エナジー、藤岡林業、新興工機ら5社の共同出資で設立されたバイオマス発電所。
燃料は内子町森林組合など地元林業社から供給された原木を内藤鋼業が自社で保有する工場でペレット化して使用する。
ボイラーは三洋貿易の供給するドイツのブルハルト社の熱分解ガス化CHP機165kW×6及びアメリカのアクセスエナジー社製125kW×1機。
求人情報
給料低い上に年間休日80日って・・・こんな求人でも人が来るものなのでしょうか・・・
【2024年8月運開予定】大洲バイオマス発電所
前田建設工業、石油資源開発(JAPEX)、四電ビジネス、新光電装の4社共同出資で誕生したバイオマス発電所。2022年6月に建設着工し順調に推移中。
燃料には全て輸入ペレットを使用。
ボイラーは三菱重工製の循環流動層式を採用しており発電出力は50,000kW。
発電所運開後の保守運営会社は不明で関係求人なども見つからず。
愛媛県ではこの他に大林組と2022年に資本提携を行った製材業のサイプレス・スナダヤが取り組む10MW級の「いしづちパワー」というバイオマス発電事業の計画もあります。燃料は自社で排出する製材端材などの国内材を使用し、2026年辺りに運転開始する予定だそうですが、詳細は不明です。
高知県
【1997年3月運開】イーレックスニューエナジー土佐発電所
太平洋セメントの土佐事業内に設立したバイオマス発電所。
もともと太平洋セメント工場の電力供給源として石炭火力発電設備を稼働させていたが、2010年のセメント工場の廃止に伴ってバイオマス専用の発電設備に改造することとなり、太平洋セメントの敷地内にある発電設備は新電力のイ―レックスが譲り受けてバイオマス発電用に改造し、2013年6月から運転を開始した。
燃料はPKS専焼。2023年2月よりFIPに移行
ボイラーはもともと2003年に川崎製鉄と合併しJFEとなる前のNKK(日本鋼管)製で、発電設備の改造工事もJFEエンジニアリングが引き継いで行っている。発電出力は20,000kW。
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【1999年7月運開】住友大阪セメント高知工場発電所2号機
【2005年1月運開】住友大阪セメント高知工場発電所3号機
住友大阪セメント高知工場に3基存在する自家発電設備のうち、1号機が排熱ボイラー(10,500kW)で、2号機と3号機が木質燃料を使用した発電所となる。当初はIPP(独立系発電事業者)で事業を行っていたが、2013年以降はFIT制度も対応している。
燃料は石炭、コークス、木質燃料。
ボイラーは2,3号機共にフィンランドのフォスターウィラー社製の循環流動床式を採用しており発電出力は2号機が61,000kW、3号機が61,500kW。
この工場では南海トラフ地震への対策として発電所の中央監視室を高台に移設したり津波避難経路や浸水対策を新設したりしているそうです。
【2015年1月運開】宿毛バイオマス発電所
高知工科大有志母体で設立されたベンチャー企業であるグリーンエネルギー研究所が行っているバイオマス発電事業。
燃料は県内の未利用材や一般木材を使用。
ボイラーはよしみね製のストーカ炉を採用しており発電出力は6,500kW。
燃料集荷、チップ化、発電所保守運営は全てグリーンエネルギー研究所が自社従業員にて行っている模様。
母体が大学であったり、粗悪な土場の端材や剪定材で事業を成功させていたりする、全国でも珍しいFIT案件になります!
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【2015年3月運開】土佐グリーンパワー
出光興産、とさでん交通、高知県森林組合連合会の三者が出資する木質バイオマス発電事業。
燃料には全てバーク・端材を含む未利用材を使用。
ボイラーはタクマ製で炉型は不明だがストーカ炉または流動床式と思われる。発電出力は6,250kW。
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【2022年4月運開】本山バイオマス発電所
エフビットコミュニケーションズ、エフビットファームが建設したバイオマス発電所。
燃料には地域の未利用間伐材などを使用する。
ボイラーはタクマ製のストーカ炉を採用しており発電出力は1,990kW。
パプリカを栽培する園芸ハウスを併設しており、発電所の熱や電気を施設に利用している。
発電所の保守運営はエフビットコミュニケーションズが行っている。
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