当記事では公開日時点でのFIT認定されている1,000kW以上の各バイオマス発電所の情報や、公開されたことのある求人などをまとめています。(※木質チップ系燃料を使用した発電所に限定している為、木質系燃料由来のガス化エンジンやディーゼル発電所は掲載していますが、廃棄物由来のメタンガスを利用したバイオガス発電やパーム油発電所、ごみ焼却所等は除外しています。)
一応、建設予定のバイオマス発電所についても建設予定が確定していたり、情報が明確に開示されているものはなるべく載せていきます。
今回は関東地方1都6県(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)のうち、千葉県、東京都、神奈川県のバイオマス発電所についてご紹介します。
現在FIT認定されて運転している関東地方のバイオマス発電所は、僕の調べた所千葉県が6件、東京都が0件、神奈川県が4件ほどになっています。
燃料の略称はWC:木質チップ(未利用材、一般木材、建築廃材含む)、WP:木質ペレット、PKS:ヤシ殻となっています。
千葉県
【2007年11月運開】フジコー白井事業所バイオマス発電所
建設工事現場で発生する木屑やがれき等の産業廃棄物を中心とした各種廃棄物の中間処理を手掛けるフジコーが建設したバイオマス発電所。運開初期はRPS制度(Renewables Portfolio Standardの略。電気事業者に対し、一定割合以上の新エネルギーから発電される電気の利用を義務づけることにより、新エネルギーの普及を図る制度)にて売電しており、後にFIT制度へ移行。
燃料は主に建築現場から発生する木くずや街路樹、果樹園の選定枝材を利用。FIT売電価格は13円だが、有償で引き取った燃料を使用する為利益は大きい。
ボイラーメーカーは不明でバイオマスガス化設備を採用しており、発電出力は1,800kW。
発電所単体の求人は見当たらず。
恐らくフジコーの従業員が運営していると思うので、フジコーの求人に発電所運転員の募集があるのかもしれません!
【2008年2月運開】市原グリーン電力
2008年に三井造船主導で運開したバイオマス発電所で当初はRPS制度にて売電、2013年以降にFIT売電を開始している。
燃料には建築廃材やRPFなどを使用。
ボイラーは三井造船製の循環流動層式を採用しており発電出力は49,900kW。
2020年5月にタケエイの子会社化となる。
求人は自社ホームページに項目があるものの、現在は募集を行っていない模様。
【2008年10月運開】市原ニューエナジー
一般廃棄物や産業廃棄物関係の処理業務を手掛ける杉田グループが運営する発電所。
燃料は建築廃材など木質チップの他に、マテリアルサイクルが不可能な廃プラ等の廃棄物も焼却するので、バイオマス発電所というよりかはどちらかと言えばごみ焼却場に近い発電所。
ボイラーはタクマ製の特殊階段式ストーカ炉を採用しており、発電出力は1,950kW。
FIT認定が2023年1月に消滅し同年2月にFIP制度で認定されている模様。
求人情報
実は10年前くらいの製紙会社時代に伺ったことがある会社です!
【2020年12月運開】市原バイオマス発電所
伊藤忠、大阪ガス、三井E&Sエンジニアリングの共同出資で誕生したバイオマス発電所で三井E&Sホールディングス千葉事業所内に建設されている。
燃料は輸入木質ペレット及びPKSを使用。
EPCは三井エンジニアリングでボイラーはオーストリアのアンドリッツ製で循環流動層式を採用しており発電出力は50,000kW。
運転保守を行うのは、三井E&Sホールディングスグループでアンドリッツ社も推薦する、デンマークが拠点のBWSC(BURMEISTER & WAIN SCANDINAVIANCONTRACTOR A/S)社。燃料調達は輸入に強い伊藤忠、発電所の技術手法は大阪ガスが提供するとのこと。
求人情報
運営が外資系グループなので年棒制みたいです。
給料も運転員クラスにしては高い方ですし、外資系良いかもしれません!(英語できないと苦労しそうですが)
【2023年7月運開予定】袖ヶ浦バイオマス発電所
Daigasガスアンドパワーソリューション単発で初めてのバイオマス発電事業で運営も同じくガスアンドパワーで行っている。千代田化成千葉工場内に建設された。
燃料は輸入ペレットを100%専焼で使用する予定。
EPCは千代田化(株)でボイラーメーカーは韓国の斗山(トゥサン)重工業製の循環流動層式を採用しており、発電出力は75,000kW。
試運転中の2023年1月1日に、4個あるうちの1個のペレット貯留サイロから白煙が上がる火災が発生した。
発電電力75,000kWは関東地方最大級!
求人情報
【2024年1月運開予定】市原八幡追悼バイオマス発電所
東京ガス子会社のプロミネットパワー100%出資で立ち上がったバイオマス発電所。
燃料には輸入木質ペレットなどを使用する。
EPCは東洋エンジニアリングでボイラーはオーストラリアのアンドリッツ製循環流動層式を採用。発電出力は75,000kW。
運営保守は東京ガスエンジニアリングソリューションズが行う。
市原八幡も先ほどの袖ヶ浦バイオマス発電所と同じ75,000kW級!
この2か所が運開すると千葉県の総発電電力量は約25万kWと、関東2位の神奈川県約6万kWと比べても4倍以上の出力で圧倒的な1位となります!
求人情報
東京都
該当なし
東京都のバイオマス発電所は、なんと0件でした!
ゴミ焼却場でチップを混焼使用していたりはありますが、100%木質チップ専焼のバイオマス発電所はないようです。
都会は森林も少ない上に交通も不便で燃料搬入にも支障出るし、バイオマス発電建設には向いてないですしね・・・
都会で仕事したい人にとってバイオマス発電所は最も向いてない職種ですw
神奈川県
【2002年6月運開】ウェステックかながわ
もともとは横浜市と川崎市が出資して設立され2002年に運開した廃棄物処理施設のかながわクリーンセンターで、経営不振により2010年4月にクレハ環境に事業譲渡された。
ボイラーは2003年に川崎製鉄と合併しJFEとなる前のNKK(日本鋼管)製のロータリーキルンストーカ炉式と流動床式を2基採用しており、2基分の蒸気が1基のタービン・発電機に合流する。発電出力は4,800kW。
燃料には木質チップの他、廃プラスチックや脱水汚泥などの廃棄物系資源も使用するので、バイオマス発電所と言うよりかはゴミ焼却場としての運営が近いと思われる。
求人情報
【2015年11月運開】京浜バイオマスパワー
昭和シェル石油が出光と合併する以前に100%出資で設立したバイオマス発電所。2011年に閉鎖した出光京浜製油所扇町工場の跡地に建設された。
燃料には輸入ペレット及びPKSが使用される。
ボイラーはJFEエンジニアリング製の循環流動層式を採用しており発電出力は49,000kW。
2019年4月16日に東洋埠頭川崎支店で発生した火災が燃料棟に延焼する事故が発生している。
50MW級は都市部に近いバイオマス発電所としてはかなり大型で、当然神奈川県1位の発電出力を誇ります!
【2019年11月運開】横須賀バイオマスエナジー
産廃処理会社のタケエイグループが主要株主として出資し建設されたバイオマス発電所。
グループ企業に青森の津軽バイオマスエナジーや岩手の花巻バイオマスエナジー、秋田の大仙バイオマスエナジー、福島の田村バイオマスエナジー、千葉の市原グリーン電力がある。
ボイラーは三菱製の流動床式を採用しており発電出力は6,950kW。
筆頭株主である㈱T・Vエナジーホールディングスは、バイオマス発電をはじめとする再生可能エネルギー事業を共同で行うことを目的として設立したタケエイとヴェオリア・ジャパンとの合弁会社。
燃料は剪定枝などから作られた木質チップで、地元の神奈川県森林組合連合会やタケエイグリーンリサイクル等から供給を受ける。
保守運営を担うのはフランスのパリに本部を構える「ヴェオリアグループ」のVTエナジーマネジメントで、母体が外資系のため年棒制との情報。
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【2021年7月運開】茅ヶ崎バイオマス発電所
一般土木工事請負事業や一般貨物自動車運送業を手掛ける利久(株)が建設したバイオマス発電所。
燃料は剪定材など一般廃棄物由来のチップを使用。
ボイラーはタクマ製のトラベリングストーカ炉を採用しており発電出力は1,990kW。
発電所の保守運営は利久(株)が自社の従業員にて行っている模様。
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