当記事では公開日時点でのFIT認定されている1,000kW以上の各バイオマス発電所の情報や、公開されたことのある求人などをまとめています。(※木質チップ系燃料を使用した発電所に限定している為、木質系燃料由来のガス化エンジンやディーゼル発電所は掲載していますが、廃棄物由来のメタンガスを利用したバイオガス発電やパーム油発電所、ごみ焼却所等は除外しています。)
一応、建設予定のバイオマス発電所についても建設予定が確定していたり、情報が明確に開示されているものはなるべく載せていきます。
今回は近畿地方2府5県(三重県、滋賀県、京都府、大阪府、奈良市、和歌山県、兵庫県)のうち、兵庫県のバイオマス発電所についてご紹介します。
現在FIT認定されて運転している兵庫県のバイオマス発電所は、僕の調べた所約9件ほどになっています。
燃料の略称はWC:木質チップ(未利用材、一般木材、建築廃材含む)、WP:木質ペレット、PKS:ヤシ殻となっています。
兵庫県
【1997年3月運開】住友大阪セメント赤穂工場5号ボイラー
住友大阪セメント赤穂工場内にあるボイラー設備のうち、5号機は石炭燃料の他に燃料系廃棄物・副産物として廃油,廃白土,廃プラスチック,木屑,下水汚泥などを混焼使用している。2013年にFIT認定済み。
ボイラーは三菱製ボイラーを採用しており発電出力は102,500kW。このうち工場内で電力の全量を賄い、余剰分をFIT売電している。
https://www.jcassoc.or.jp/cement/4pdf/jg3_19.pdf
セメント工場の自家発電設備の一つなので発電所単体の求人は見つからず。
【2004年10月運開】兵庫パルプ工業バイオマス4号ボイラー
パルプの製造・販売を手掛ける兵庫パルプ工業(株)が稼働させたバイオマス発電設備で、4号機は当初グリーン電力認定を受けRPS制度により地域社会への電力供給を行っていた。その後FIT制度が始まったことでFIT売電へ移行している。
燃料は主に建築廃材を使用し、他にもRPF、一般木材、未利用材や輸入PKSを混焼している。
ボイラーは三菱製の流動床式を採用しており発電出力は18,900kW。
発電設備の保守管理は兵庫パルプ工業社員により行っている。
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【2015年5月運開】日本海水赤穂第1バイオマス発電所
日本海水赤穂工場内に建設されたバイオマス発電所で、2015年に稼働された。
バイオマス発電設備では自社製塩工場の熱需要に対し蒸気を供給しており、これにより生産工程の低炭素化を実現するとともに発電のみの場合に比べ約40%程度総合エネルギー効率を向上させている。
燃料には間伐材など未利用材の他、建築廃材、バークやPKSも使用することで大出力発電を賄う。
ボイラーは住友重機械工業製の循環流動床式を採用しており発電出力は16,530kW。
発電所の運営は日本海水赤穂工場従業員が行っている。
FIT制度施行後バイオマス専焼で最も初期に運開した発電所です。
工場内に電力と蒸気を供給する熱電併給で、バイオマス発電所としては一番理想的な運用方法です!
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【2016年12月運開】朝来バイオマス発電
関電子会社の関電エネルギーソリューションにより設立されたバイオマス発電所。
燃料には未利用材などを使用し、関電や県の外郭団体・ひょうご農林機構が山の未利用材の搬出に協力し、同連合会がチップに加工して供給。県や朝来市も加わる協定を結び、地元の森林資源を使って官民で発電に取り組む国内初の「兵庫モデル」として注目された。
ボイラーはよしみね製のストーカ炉を採用しており発電出力は5,600kW。
2022年、燃料となる木材の価格がコロナ禍やロシアのウクライナ侵攻の影響で高騰し、調達ができなくなったことで12月24日を持って無期限稼働停止となった。
燃料の調達不足によるバイオマス発電所の稼働停止は国内初。
その後2023年7月に大東建託と事業譲渡契約を結び、自社で建設する賃貸建物の構造材には使わない根株や枝葉を燃料として発電に活用する方針で2024年度の再稼働を目指しているとのこと。
2022年はコロナやウクライナ侵攻でどのバイオマス発電所でも燃料調達が一気に困難となりました。
そんな中での朝来バイオマス発電所の稼働停止は遂に恐れていた事態が起きたと僕も衝撃を受けました・・・
大東建託が今後は事業を継続させてくれるそうで、是非とも頑張っていただきたいです!!
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【2017年12月運開】兵庫パルプ工業バイオマス5号ボイラー
パルプの製造・販売を手掛ける兵庫パルプ工業(株)が稼働させたバイオマス発電設備で、事業拡大で兵庫パルプ工業株式会社のグループ企業であるパルテックエナジーが、2017年に4号基と同敷地内に5号ボイラーを建造、2基の発電設備で全量FIT売電を行っている。
燃料は主に建築廃材を使用し、他にもRPF、一般木材、未利用材や輸入PKSを混焼している。
ボイラーはタクマ製のストーカ炉を採用しており発電出力は22,100kW。
発電設備の保守管理は兵庫パルプ工業社員により行っている。
発電所単体でなく他事業社が事業として行っている発電所は、FIT後の失業リスクが無くて良いですね。(そもそも配属されるかどうかが不明なリスクもありますが・・・)
【2021年1月運開】日本海水赤穂第2バイオマス発電所
日本海水赤穂工場内に建設されたバイオマス発電所で、1号機が2015年に稼働、その後事業拡大のために2号機が2021年に稼働された。
バイオマス発電設備では自社製塩工場の熱需要に対し蒸気を供給しており、これにより生産工程の低炭素化を実現するとともに発電のみの場合に比べ約40%程度総合エネルギー効率を向上させている。
燃料には間伐材など未利用材の他、建築廃材、バークやPKSも使用することで大出力発電を賄う。
ボイラーはタクマ製のストーカ炉を採用しており発電出力は30,000kW。
発電所の運営は日本海水赤穂工場従業員が行っている。
【2023年3月運開】相生バイオエナジー
関西電力株式会社と三菱商事クリーンエナジー株式会社の共同出資で設立されたバイオマス発電事業で、もともと関西電力が保有していた相生発電所2号機(1982年11月運開)の燃料について重油・原油から木質バイオマスへの燃料変更工事を行って新規に立ち上がった。
燃料は木質ペレットを使用し三菱商事が米国のバイオマス燃料大手Envivaの関連会社から調達する。
ボイラーや燃料運搬コンベアの改修・新設工事はIHI製の微粉炭バーナ燃焼による方式を採用しており発電出力は200,000kW。
発電所の保守運営はもともと相生発電所2号機を運営していた関西電力が引き続き行う。
最近は石炭専焼の発電所をバイオマス混焼できるよう改造する所が非常に増えてきました。
時代的に石炭専焼だと色々風当たりが強いのは分かりますが、これによって燃料がさらに取り合いになっているので個人的には勘弁してほしい・・・
現在中途採用は行っていない模様。
【2023年8月運開予定】広畑バイオマス発電所
大阪ガス子会社のガスアンドパワーと九電みらいエナジーの共同出資で設立したバイオマス発電事業。
燃料は国内外の木質チップと輸入PKS。
ボイラーは住友重機械工業製の循環流動床式を採用しており発電出力は75,000kW。
発電所の保守運営はガスアンドパワーソリューションが担当する。
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【2023年10月運開予定】三木バイオマスファクトリー
大栄環境が建設しているバイオマス発電所。
燃料には地域から発生する廃材や食品残渣などのバイオマス燃料や汚泥・廃油・廃プラなどの産業廃棄物も使用したサーマルリサイクル施設。
ボイラーは三菱製のストーカ炉式を採用しており発電出力は11,700kW。
求人情報は見つからず。
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