当記事では公開日時点でのFIT認定されている1,000kW以上の各バイオマス発電所の情報や、公開されたことのある求人などをまとめています。(※木質チップ系燃料を使用した発電所に限定している為、木質系燃料由来のガス化エンジンやディーゼル発電所は掲載していますが、廃棄物由来のメタンガスを利用したバイオガス発電やパーム油発電所、ごみ焼却所等は除外しています。)
一応、建設予定のバイオマス発電所についても建設予定が確定していたり、情報が明確に開示されているものはなるべく載せていきます。
今回は中国地方5県(鳥取県、岡山県、島根県、広島県、山口県)のうち、鳥取県、岡山県のバイオマス発電所についてご紹介します。
現在FIT認定されて運転している中国地方のバイオマス発電所は、僕の調べた所鳥取県が5件、岡山県が7件ほどになっています。
燃料の略称はWC:木質チップ(未利用材、一般木材、建築廃材含む)、WP:木質ペレット、PKS:ヤシ殻となっています。
鳥取県
【2015年2月運開】日新バイオマス発電所
地元の合板製造会社日新が主導し立ち上げたバイオマス発電事業。
燃料には地元で集荷した未利用材や製材端材などを使用。
ボイラーはよしみね製のストーカ炉を採用しており発電出力は5,700kW。
求人情報
賞与が年3回で計6ヶ月分はバイオマス発電所としてはかなり破格ですね!
【2017年1月運開】三洋製紙バイオマス発電所
段ボール用中芯(なかしん)原紙を製造している鳥取県の製紙メーカーである三洋製紙(株)が立ち上げたバイオマス発電事業。
燃料は近隣で集荷される未利用材の他、製材残材、パーム椰子殻、リサイクル材等を幅広く使用する。
ボイラーはタクマ製のストーカ炉を採用しており発電出力は16,700kW。
発電所の保守運営は三洋製紙の自社社員で行われると思われる。
発電所単体の求人は見つからなかったため、三洋製紙工場のオペレーター求人を記載。
求人情報
元々パルプ製造用で木質チップの集荷に歴史のある製紙会社はバイオマス発電業に最も参入しやすい業種ですね。
【2022年4月運開】米子バイオマス発電所
中部電力、東急不動産、三菱HCキャピタル、シンエネルギー開発、三光などの共同出資。
燃料は輸入ペレット及びPKS。
EPCは東洋エンジニアリングでボイラーはアンドリッツ製の循環流動床式を採用。発電出力は54,500kW。
2023年5月17日と20日に燃料ペレットサイロより出火する事故が発生している。
当発電所では、夜間に騒音が発生していると住民から苦情が寄せられたことで、周辺の住宅の防音対策について立地を仲介した米子市も必要な費用の半額を負担したとのことです。
弊社に寄せられるクレームも市が対応してくれないかな・・・
【2022年10月運開】境港エネルギーパワー
東京エネシスが100%出資し建設されたバイオマス発電所で、出資者の東京エネシスが自社でO&Mも手掛ける。
燃料は輸入PKSやバークも使用する。
ボイラーメーカーは不明で流動床式を採用しており発電出力は24,300kW。
求人情報
昇給賞与は有りとなっていますが実績はまだ無しとのことです。運開直後なので2023年以降にはちゃんと実績が出る・・・はずです!
【2026年5月運開予定】境港昭和町バイオマス発電所
中部電力、New Circle Energy、稲畑産業、中部プラントサービス、NX境港海陸および三光の各社が出資して設立されたバイオマス発電事業。
NCE(NewCircleEnergy)は丸の内インフラストラクチャー投資事業有限責任組合とシンエネルギー開発の合併会社。稲畑産業はケミカル分野を中心とした事業を行っている複合商社で、PKS輸入事業なども手掛ける。他にも発電設備の保守運営を行う中部プラントサービスや湾岸運送を行う境港海陸運送、廃棄物の運搬処理を手掛ける三光により事業が行われる。
燃料は島根県及び周辺の未利用材、一般木材、建築廃材と木質ペレットを使用。
ボイラーメーカーや炉型は不明、発電出力は28,110kW。
求人情報は出ていないが運転管理は中部プラントサービス社員にて行われると思われる。
岡山県
【1998年1月運開】銘建工業第1バイオマス発電所
集成材とペレット生産大手の鈴建工業自社工場にあるバイオマスボイラー設備。
1998年に稼働し、当初はRPS制度により売電しFIT制度施工後は新制度に移行、2018年度にFIT期間を終えて、2021年度に第2発電所が建設され稼働した後は一旦休止されている。
燃料は各工場から出た木の皮やプレーナー屑、端材を使用。
ボイラーはタクマ製のストーカ炉を採用しており、発電出力は1,950kW。発電した電力と熱は自社の工場内で使用し、余剰分をFIT売電する。
RPS制度による新エネルギー発電所として日本で初めて認定を受けた設備ということで、売電事業を行うバイオマス発電としては最古の発電所と言うことになりますね!
発電所の運営は銘建工業の自社従業員が行っていると思われる為、本社工場の求人を記載。
求人情報
【2015年4月運開】真庭バイオマス発電
鈴建工業社長が代表を務める発電事業で、木材協同組合や素材生産者など9団体で設立された。
燃料には地元で集荷された未利用材の他、30%程度は樹皮・枝葉も使用する。
2020年3月に生協のおかやまコープがエネルギー地産地消策として電気需要契約を終結。これにより当発電所から電気を購入し宅配など34施設で利用する。(民間団体への電気供給は岡山初)
ボイラーはタクマ製のストーカ炉を採用しており発電出力は10,000kW。
【2019年4月運開】SARAパワー発電所
園芸ハウスとバイオマス発電を組み合わせた画期的な事業を行っているサラが設立したバイオマス発電事業。
燃料には間伐材や製材及び輸入PKSを使用する。
ボイラーはタクマ製のストーカ炉を採用しており発電出力は10,000kW。発電した電力や蒸気の一部はトマトやパプリカ、レタスといった園芸作物に使用する。
発電所の保守運営に関するO&Mはタクマが担当する。
求人情報
【2020年5月運開】新見バイオマスエナジー
1997 年設立のインターネット接続サービス事業、ケーブルテレビ事業、太陽光発電事業などを手掛けるエヌディエスが主導するバイオマス発電事業。
燃料は未利用材や一般木材、建築廃材などを使用。供給はバイオマスサプライが担う。
ボイラーメーカーは不明だがストーカ炉を採用しており発電出力は1,995kW。
求人情報は見つけられなかったものの、事業母体が同じの後述する高梁グリーンエナジーと同じような待遇と思われる。
【2021年8月運開】銘建工業第2バイオマス発電所
集成材とペレット生産大手の鈴建工業自社工場にあるバイオマスボイラー設備。
1998年に稼働した第1バイオマス発電所の老朽化に伴い2021年度に第2発電所が建設され稼働した。その後1号機は一旦休止されている。
燃料は各工場から出た木の皮やプレーナー屑、端材を使用。
ボイラーはタクマ製のストーカ炉を採用しており、発電出力は1号が4,990kW。発電した電力と熱は自社の工場内で使用し、余剰分をFIT売電する。
求人情報は第1バイオマス発電所と同じ。
【2024年5月運開予定】高梁グリーンエナジー
新見市において新見バイオマスエナジーを運営しているエヌディエスが設立したバイオマス発電事業。
高梁市において2012 年に閉鎖された高梁市の健康増進施設「朝霧温泉ゆ・ら・ら」の跡地を利用した木質バイオマス発電所の建設を計画している。
燃料には発電所周辺地域の森林の未利用材を100%原材料として利用する計画。
ボイラーメーカや炉型は不明で、発電出力は1,995kW。
求人情報
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