当記事では公開日時点でのFIT認定されている1,000kW以上の各バイオマス発電所の情報や、公開されたことのある求人などをまとめています。(※木質チップ系燃料を使用した発電所に限定している為、木質系燃料由来のガス化エンジンやディーゼル発電所は掲載していますが、廃棄物由来のメタンガスを利用したバイオガス発電やパーム油発電所、ごみ焼却所等は除外しています。)
一応、建設予定のバイオマス発電所についても建設予定が確定していたり、情報が明確に開示されているものはなるべく載せていきます。
今回は中部地方9県(新潟県、長野県、山梨県、富山県、石川県、福井県、静岡県、岐阜県、愛知県)のうち、静岡県、岐阜県のバイオマス発電所についてご紹介します。
現在FIT認定されて運転している東海地方のバイオマス発電所は、僕の調べた所静岡県が6件、岐阜県が7件ほどになっています。
燃料の略称はWC:木質チップ(未利用材、一般木材、建築廃材含む)、WP:木質ペレット、PKS:ヤシ殻となっています。
静岡県
【2007年7月運開】日本製紙富士工場3号ボイラー
【2008年6月運開】日本製紙富士工場10号ボイラー
日本製紙富士工場における1~10号ボイラーのうち、3号と10号のボイラーがバイオマス発電所として運転している。
3、10号ボイラーはいずれも燃料を建築廃材やRFP、石炭などを使用しボイラーは3号が住友重機械工業製、10号はIHI製を採用、このうち10号ボイラーは2012年にボイラー改造を行っている。
工場内ボイラー設備の為発電所単体の求人は無いが日本製紙富士工場操業オペレーターの求人があり、恐らく待遇面は同じだと思うのでそちらを記載。
求人情報
【2015年3月運開】王子マテリア富士工場6号ボイラー
元々重油ボイラーを使用していた王子マテリア富士工場で、老朽化し廃止された重油ボイラー跡地に建造されたバイオマス発電所。
発電した電気の大半を自社工場内で使用し余剰分をFIT制度で売電する。
使用燃料は木質チップやRPFの他石炭も使用する。
ボイラーは住友重機械工業製の循環流動層式を採用しており発電出力は80,000kW。
工場内ボイラー設備の為発電所単体の求人は無いと思われる。
中部地方の中でも静岡県はバイオマス発電の総発電量がトップクラス!
その大部分は製紙工場のバイオマスボイラーが占めております。
静岡県はもともと製紙工場が多く木質燃料を調達しやすい歴史があるというのも背景にあると思われます。
【2016年9月運開】鈴川エネルギーセンター
三菱商事パワー、日本製紙、中部電力の3社で共同出資して設立された発電事業。日本製紙の旧鈴川港工場跡地に2016年9月に建設・運営が始まり、当初は石炭専焼の微粉炭ボイラーであった。
その後発電所で使用していた既存のIHI製石炭火力発電設備(発電出力112,000kW)を改造し、2022年7月に木質ペレットを使用した発電出力85,400kWのバイオマス専焼発電所へ変更した。
燃料供給は三菱商事、発電所の保守運営は日本製紙が担当している。
【2023年12月運開予定】御前崎港バイオマスエナジー
レノバ、中部電力、三菱電機クレジット、鈴与商事の共同出資で立ち上がったバイオマス発電所。
EPCは東洋エンジニアリングでボイラーはアンドリッツ製の循環流動床式を採用しており発電出力は75,000kW。
2023年2月6日にバグフィルタ溶接作業中に作業員11人が内部で溶接作業中に一酸化炭素(CO)中毒となり、そのうち1人が死亡したとされる事故が発生し工事を一時中断したことがある(3月7日に再開)
求人情報
【2024年12月運開予定】遠州フォレストエナジー
フォレストエナジー、静岡ガス&パワー、中部電力の共同出資で設立されたバイオマス発電事業。
燃料となる木材は静岡県産の未利用材を主として調達するほか、枝条や根元部、樹皮も収集・活用する計画。
ボイラーメーカーなどは不明だが三菱重工製の流動床式を採用しているとの情報もあり。発電出力は7,100kW。
求人情報はまだ見つからず。
岐阜県
【2007年6月運開】川辺バイオマス発電
大豊製紙(株)の工場に蒸気と電気を供給する為に従来使用していた重油ボイラー設備の老朽化に伴い、2007年度にバイオマス発電設備を新設した。
燃料は建築廃材の他、一般木材などを使用。
ボイラーはタクマ製の流動層を採用しており発電出力は4,300kW。このうち半分を大豊製紙工場内に送電し余剰分をFIT制度で売電している。
大豊製紙内の従業員で運営している為か単体の求人は無し。代わりに大豊製紙操業オペレーターの情報を記載。
求人情報
僕が昔在籍していた製紙会社でもバイオマスボイラーを使用して蒸気や電気を供給して採算がとれていました。
製紙会社はパルプ原料にもともと木質チップを使用していたのと、工場で蒸気や電気を消費できるのでバイオマス発電所との相性はかなり良いです!
【2014年11月運開】岐阜バイオマスパワー1号機
【2020年7月運開】岐阜バイオマスパワー2号機
染色加工事業を手掛ける岐センにより設立されたバイオマス発電事業で、岐センの穂積工場に建設された。
1号機が2014年に運転を開始し、その後2号機が2020年に運転を開始した。
燃料は岐阜県内の未利用材などを使用し、隣接するバイオマスエナジー東海が燃料加工・供給を行っている。
ボイラーは1,2号共にタクマ製の流動床式を採用しており発電出力は1号が6,560kW、2号が6,800kW。
求人情報
同敷地内に2号機を建造する発電所はたまにありますが、保守運営は同じ中央制御室で行っているのでしょうか?BTや電気主任は1,2号で別々に選任?それとも兼務?
どういう管理をしているのか一度話を聞きに行ってみたいです!
【2023年1月運開】SGET土岐バイオマス発電
スパークグループの子会社で再エネ事業を行っているスパークス・グリーンエナジー&テクノロジー(SGET)、バイオマスフューエル(BMF)などが出資して設立した発電所。グループ企業には新潟県で運転しているSGET三条バイオマス発電がある。
燃料には岐阜県内の未利用材や一般木材を使用し、ウッドフューエル土岐が供給を行う。
ボイラーはタクマ製の流動床式を採用しており発電出力は7,100kW。
保守運営は三重県でバイオマス発電所を運営している三重エネウッド(株)が業務委託にて行う。
求人情報
【2023年4月運開】ぎふ西濃グリーンパワー
丸紅クリーンパワーと中部電力の共同出資で設立されたバイオマス発電事業。この2社は福井県の敦賀グリーンパワーも共同出資しており相互に技術交流などを行う予定とのこと。
燃料には岐阜県内の未利用材・一般木材を使用する。
EPCは神鋼環境ソリューションズでボイラーはアメックス製の流動床式を採用。発電出力は7,500kW。
発電所の保守運営は人材派遣業を行う池田興業(株)が請け負う。
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【2023年10月運開予定】美濃加茂バイオマス発電所
中部電力、佐合木材、三菱HCキャピタルの共同出資して設立されたバイオマス発電所。
燃料には近隣の間伐材などの未利用材や一般木材を使用する予定。
ボイラーは三菱重工製の流動床式を採用しており発電出力は7,100kW。
発電所の保守運営は美濃加茂市内に事業所を構えるチップ製造業者でもある佐合木材(株)が担当する。
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【2025年3月運開予定】中国木材長良川発電所
製材や集成材、プレカットを手がける大手総合木材企業の中国木材(株)が設立したバイオマス発電所で、同社の関連会社である長良川木材事業組合の隣接地に建設する。
燃料は間伐材など未利用材の他、バークや工場で発生する製材端材、乾燥オガ等も使用する予定。
ボイラーはタクマ製を採用しており、炉型は不明だが中国木材の他発電所の構想を考えるにストーカ炉の可能性が高い。発電出力は9,990kWで、発電した電力や蒸気の熱源を工場でも利用する予定とのこと。
求人情報
岐阜県は森林面積が多く林業も盛んな県で、海の無い内陸県の中でもバイオマス発電所の数は多めです。
たまたまかもしれませんが岐阜県のバイオマス発電所はタクマメーカーが多いですねw
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