当記事では公開日時点でのFIT認定されている1,000kW以上の各バイオマス発電所の情報や、公開されたことのある求人などをまとめています。
一応、建設予定のバイオマス発電所についても建設予定が確定していたり、情報が明確に開示されているものはなるべく載せていきます。
今回は関東地方1都6県(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)のうち、茨城県のバイオマス発電所についてご紹介します。
現在FIT認定されて運転している茨城県のバイオマス発電所は、僕の調べた所約12件ほどになっています。
燃料の略称はWC:木質チップ(未利用材、一般木材、建築廃材含む)、WP:木質ペレット、PKS:ヤシ殻となっています。
茨城県
【2006年7月運開】バイオパワー勝田
廃棄物処理事業を手掛ける勝田環境(株)が始めたバイオマス発電事業で、2006年7月運開当初はRPS制度(Renewables Portfolio Standardの略。電気事業者に対し、一定割合以上の新エネルギーから発電される電気の利用を義務づけることにより、新エネルギーの普及を図る制度)を利用して売電をしていたが、FIT制度開始後はFITの認定を受け売電している。
燃料には建築廃材や一般木材などを使用。
ボイラーはタクマ製の流動床式を採用しており発電出力は4,990kW。
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【2006年9月運開】北越コーポレーション関東工場
北越コーポレーション関東工場に建設されているバイオマス発電設備。2006年9月運開。当初はRPS制度を利用して売電をしていたが、FIT制度開始後はFITの認定を受け売電している。
燃料には建築廃材や間伐材、工場で発生するペーパースラッジを使用。
ボイラーは住友重機械工業製の循環流動床式を採用しており発電出力は42,900kW。発電した電力のうち20,000kWは発電所や自社工場内で使用し、余剰分を売電している。
発電所単体の求人はなく工場内の従業員が行っていると思われるため、北越コーポレーション関東工場の求人を記載。
バイオパワー勝田もそうですが、FIT制度開始前から運転しているバイオマス発電所は建築廃材を使用したボイラーが多いです。
【2008年7月運開】神之池バイオエネルギー
中国木材と三菱商事の共同出資で誕生したバイオマス発電所で中国木材鹿島工場内に建設された。
使用燃料はバーク・生オガ・乾燥オガで、全量を中国木材鹿島工場から購入、炉内へ各3系統で供給する。
ボイラーは荏原製の独自技術である内部循環流動床式を採用しており発電出力は21,000kW。電力は中国木材工場で自家消費し余剰分を売電、また蒸気の熱も工場やコンビナートの別企業へ販売している。
発電所の保守運営は荏原環境プラントが業務委託している模様。
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【2015年11月運開】宮の郷木質バイオマス発電所
日立造船が設立したバイオマス発電事業で、保守運営O&Mも自社で行っている。
燃料には100%地元の未利用材を使用しており、主なチップ化・供給は日本森林エネルギー開発や地元林業会社が行う。
日立造船の流動床式ボイラーを採用しており発電出力は5,700kW。
2022年12月7日には、未利用材の集荷難航を利用に1月上旬の1か月間を目安に発電を停止している。
未利用材のみを使用しているバイオマス発電所は燃料調達が非常に厳しい状況が続いております・・・
【2018年3月運開】だいごバイオマス発電所
電力会社を中心にプラント設備の設計、施工、試験、メンテナンスをトータルサポートする総合エネルギーエンジニアリング企業である(株)クリハラントの100%出資で立ち上がったバイオマス発電所。
燃料には県内間伐材等由来の木質チップを使用。
ボイラーはタクマのストーカ炉式を採用しており発電出力は1,990kW
発電所単体の求人情報は見つからず。
電力事業にノウハウのあるクリハラントが自社の従業員で運営しているのかもしれません。
【2018年10月運開】かみすパワー
丸紅100%子会社の丸紅クリーンパワーと関電エネルギーソリューションが共同出資して誕生したバイオマス発電所。
燃料には石炭の他、間伐材・建築廃材や輸入木質ペレットを混焼して使用。
ボイラーメーカーは不明で微粉炭式を採用しており、発電出力は112,000kW。
発電所の保守運営は関電パワーテックが業務委託されている。
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【2019年5月運開】JRE神栖バイオマス発電所
ジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE)が運営するバイオマス発電所。
燃料は全て国内の建築廃材と未利用材を使用。調達はグループ企業のエコグリーンホールディングスなどが担う。
ボイラーは荏原製の独自技術である内部循環流動床式を採用しており発電出力は24,400kW。
発電所の保守運営はグループ会社のJREオペレーションズ株式会社が担当。ホームページに採用ページがあるが詳細の記載は無し。
【2022年2月運開】大林神栖バイオマス発電所
大林組主導で行われるバイオマス発電事業。
燃料は大半が木質ペレットを使用し一部PKSも供給する。
EPCは東洋エンジニアリングが行いボイラーはアンドリッツ社(オーストリア)製の循環流動層式を採用している。発電出力は51,500kW。
発電の運転・保守は太平電業が業務委託されている模様。
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【2022年4月運開】だいごバイオガス発電所
南国殖産子会社の大子リニューアブルエナジー株式会社が運営するバイオマス発電所。
ボイラーはオーストリア製のバイオマス熱分解ガス化CHPを採用し発電出力は1,166kW。
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【2023年7月運開予定】神栖バイオマス発電所
中部電力、三菱HCキャピタル、ソラリアント、バイオ燃料の共同出資で設立されたバイオマス発電所。
主燃料はPKSで、輸入木質ペレットも使用する予定。
ボイラーは日立造船の循環流動層式を採用しており発電出力は50,000kW。
公開求人情報は見つけられず。
【2024年6月運開予定】北茨城バイオマス発電所
東京電力出資により2023年3月より建設が始まっている。EPCは東京エネシスでO&Mも手掛ける。
燃料は県内の未利用材やバークなども使用する予定。
ボイラーメーカーは不明で流動床式を採用しており発電出力は1,990kW。
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年齢制限で~40歳までとかはよくありますが、まさかのシニア限定求人!
僕も定年後に雇ってほしいw
【2025年3月運開予定】中国木材鹿島工場
木材最大手の中国木材が設立したバイオマス発電事業で中国木材鹿島工場敷地内に建設される。
燃料にはバークや建築廃材、間伐材の他工場の製材で発生するおが粉等を使用。
ボイラーはタクマ製を採用しており炉型は不明だがストーカ炉または流動床式と思われる。発電出力は9,990kW。
神栖市は神ノ池バイオエネルギー、神栖パワープラント、かみすパワー、JRE神栖バイオマス発電所、大林神栖バイオマス発電所、神栖バイオマス発電所、そして中国木材の計7件もバイオマス発電所が集結する激戦区!!
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茨城県には木質チップのバイオマス発電所の他にパーム油を使用したバイオマス発電所が4社ほど立ち上がりましたが、現在はほぼ全滅し稼働停止の状況・・・やはり輸入に頼ったバイオマス発電所は今後も危険と言わざるを得ません。
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