当記事では公開日時点でのFIT認定されている1,000kW以上の各バイオマス発電所の情報や、公開されたことのある求人などをまとめています。(※木質チップ系燃料を使用した発電所に限定している為、木質系燃料由来のガス化エンジンやディーゼル発電所は掲載していますが、廃棄物由来のメタンガスを利用したバイオガス発電やパーム油発電所、ごみ焼却所等は除外しています。)
一応、建設予定のバイオマス発電所についても建設予定が確定していたり、情報が明確に開示されているものはなるべく載せていきます。
今回は九州地方7県(福岡県、大分県、佐賀県、長崎県、宮崎県、熊本県、鹿児島県)のうち、福岡県のバイオマス発電所についてご紹介します。
現在FIT認定されて運転している福岡県のバイオマス発電所は、僕の調べた所約11件ほどになっています。
燃料の略称はWC:木質チップ(未利用材、一般木材、建築廃材含む)、WP:木質ペレット、PKS:ヤシ殻となっています。
福岡県
【2017年4月運開】シグマパワー有明三川発電所
東芝子会社のシグマパワーが設立した発電所で、2005年の運開当初は石炭を使用していたが2017年4月にPKS専焼発電所へリニューアルしFIT売電を行っている。
ボイラーはJFEエンジニアリング製の循環流動床式を採用しており発電出力は50,000kW。
発電所の保守運営はシグマパワー有明が行っている。
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【2018年12月運開】響灘エネルギーパーク
オリックスグループが主導で運営している火力発電所。
燃料は石炭をベースとし、環境への配慮として木質バイオマス燃料(木質ペレット・木質チップ)を混焼している。(混焼比率は約30%)
ボイラーは三菱重工製の微粉炭式を採用しており発電出力は112,000kW。
2020年10月13日にペレットの輸送用ベルトコンベアより火災が発生している。出火原因は不明だが、輸入木質ペレットの品質不良が原因ではないかとの見方が出ている模様。
海外の輸入燃料には、FIT価格の下がる廃棄物由来の燃料を混入した物もあり問題になっているようです。
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【2019年2月運開】響灘火力発電所
2019年に石炭とバイオマス30%混焼の発電所として運開。
2023年に大和ハウス工業が運営権を取得し、2026年度にバイオマス専焼として運開するべく、既存の微粉炭器や集塵装置、ボイラーの改造等を行っている。
ボイラーは三菱重工製の微粉炭式を採用しており発電出力は112,000kW。
前述した響灘エネルギーパークとは燃料や発電出力も同じですが、全くの別会社になります。
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【2019年12月運開】豊前ニューエナジー
イーレックス、九電みらいエナジー、九電工が共同出資で設立されたバイオマス発電所。
燃料には輸入ペレット及びPKSを使用し、燃料調達をイーレックス、発電所の管理は九電みらいエナジー、電気設備工事は九電工がそれぞれ担当する。
EPCはJFEエンジニアリングが行いボイラーはバルメット社製の循環流動床式を採用しており発電出力は74,950kW。
【2020年6月運開】ふくおか木質バイオマス発電所
九電みらいエナジーが自社開発したバイオマス発電所。
燃料は地域の未利用材や一般木材を使用し中山リサイクル産業が新会社を設立し燃料を供給する。
EPCは西日本プラント工業でボイラーはよしみね製のストーカ炉を採用しており発電出力は5,700kW。
発電所の運営は恐らく九電みらいエナジー従業員で行っていると思われる。
【2021年5月】苅田バイオマスエナジー
レノバ、住友林業、ヴェオリア・ジャパン、九電みらいエナジー、三原グループの共同出資で設立されたバイオマス発電事業。
燃料には国内の未利用材の他、輸入ペレット及びPKSを使用。
ボイラーは住友重機械工業製の循環流動床式を採用しており発電出力は74,950kW。
発電所の運転管理はヴェオリア・ジャパングループで運転維持管理のO&M業務を手掛けるヴェオリア・ジェネッツ株式会社が担う。
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【2021年10月】シグマパワー大牟田第1発電所
【2021年12月】シグマパワー大牟田第2発電所
2017年に運転開始したシグマパワー有明三川発電所と同じ、東芝子会社のシグマパワーが設立した発電所で、2021年度に第1、第2発電所が運開している。
燃料は主に輸入されたPKSを使用する。
ボイラーは1,2号共に三菱重工製の流動床式を採用しており発電出力も同じく22,100kW。
発電所の保守運営はシグマパワー有明が行っている。
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【2022年2月】バイオパワー苅田 かんだ発電所
関西電力の100%出資で立ち上げられたバイオマス発電所。
燃料には海外からの輸入木質ペレットやPKSを使用する。
ボイラーは住友重機械工業製の循環流動床式を採用しており発電出力は74,950kW。
発電所の運営も恐らく関西電力関係の従業員で行っていると思われる。
【2023年3月】田川バイオマスエネルギー
南国殖産が出資し立ち上がったバイオマス発電所。
燃料には切り株や枝葉などの林地残渣を利用する。
発電方式にはオーガニックランキンサイクル(サイクルは火力発電所と同じだが、蒸気媒体は水では無くシリコンオイルのような沸点の低い媒体を使用する技術。2MW以下の小規模発電では通常の発電方式より発電効率が大きい利点がある)を主体とし、スペインに本社のあるイナジーエンジニアリングが取りまとめる。
この会社で検索すると建設の際に住民の反対運動など何かとトラブルがあった記事が見つかりました。
バイオマス発電所は地産地消や雇用などで地元貢献を目指すのが本来の目的の一つでもありますので、住民の理解を得られるよう企業には誠実な対応を求めたいですね。
【2023年8月運開】日本海水TTS苅田パワー
エアウォーターグループの日本海水を主出資者としてTTS企画、タクマの共同出資で設立されたバイオマス発電所。
事業をけん引する日本海水のバイオマス発電事業としては、赤穂工場に建設された2件に次いで3件目の大規模バイオマス発電所となる。
燃料は国内の建築廃材やバークの他、輸入PKSを使用。
ボイラーはタクマ製のストーカ炉を採用しており発電出力は50,000kW。
発電所の保守運営はタクマテクノスが請け負う。
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苅田町では2021年の苅田バイオマスエナジー建設以降、バイオパワー苅田、日本海水TTS苅田パワーと大規模バイオマス発電所の建設ラッシュになっています。
苅田市はバイオマス発電所の建設条件で、安定操業やランニングコストにかかわってくる最も重要な燃料の調達と輸送条件を満たしやすい立地となっており、それが今回の建設ラッシュへとつながっているようです。
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