当記事では公開日時点でのFIT認定されている1,000kW以上の各バイオマス発電所の情報や、公開されたことのある求人などをまとめています。
一応、建設予定のバイオマス発電所についても建設予定が確定していたり、情報が明確に開示されているものはなるべく載せていきます。
今回は東北地方6県(青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県)のうち、山形県のバイオマス発電所についてご紹介します。
現在FIT認定されて運転している山形県のバイオマス発電所は、僕の調べた所約8件ほどになっています。
燃料の略称はWC:木質チップ(未利用材、一般木材、建築廃材含む)、WP:木質ペレット、PKS:ヤシ殻となっています。
山形県
【2008年1月運開】やまがたグリーンパワー
2008年1月に運開し、当初はRPS制度(Renewables Portfolio Standardの略。電気事業者に対し、一定割合以上の新エネルギーから発電される電気の利用を義務づけることにより、新エネルギーの普及を図る制度)で売電していたが、2013年11月よりFIT制度を導入している。
ボイラーはJFEエンジニアリング製のガス火炉及びガスエンジン方式を採用しており発電出力は1,567kW。
円筒状の炉に木質チップを入れた後に底から高温の水蒸気を吹き入れ、木を蒸し焼きの状態にし、炉の上部からガスを取り出すアップドラフト方式という方法で燃焼させる
燃料は地域の林業系バイオマス資源(間伐材、伐採木、伐根、さくらんぼの剪定枝等)などの間伐材を原料とする。
発電の副産物として発生する木酢液は、無償で近隣の農家に提供しているとのこと。
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【2016年1月運開】鶴岡バイオマス発電所
鶴岡市庄内の3つの森林組合と、栃木県を中心に展開する国産材製材大手製材会社トーセン、新潟県の木材加工協同組合が共同で、庄内南工業団地に建設したバイオマス発電所。
羽越木材協同組合の鶴岡工場と併設されており、トーセンの行っている「エネルフォーレ50」と言う製材所50km圏内の資源で地域が自立できるエネルギーを確立するという構想を実施している発電所。
燃料は工場から50km圏内で収集した木材を加工した際に発生する集成材を使用。
ボイラーはよしみね製のストーカ式を採用しており発電出力は1,995kW。
最少人数で運営している為一人一人の人材育成に力を入れており、定期的な勉強会を実施して機械・電気設備の知識を向上しているとのこと。
弊社でも是非やっていきたい取り組みです!
求人は過去にハローワークであったようだが現在は募集していない模様。
【2017年7月運開】NKCながいグリーンパワー
中西金属工業株式会社の100%子会社として設立された木質バイオマス発電事業。
同業では珍しいガス化発電方式が導入されており、これで発電効率は直接燃焼型の1.5倍、木質燃料使用は2/3に抑えることが可能となっている。
ボイラーは三機工業製のガス火炉及びガスエンジン方式を採用しており発電出力は1,990kW。
燃料は発電所に隣接されたやまがたウッドチップセンター株式会社から供給される。所内で発生する木質タールも蒸発濃縮し、全量を燃料として利用する。
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【2018年1月運開】DSグリーン発電米沢
大和証券グループの資金をもとにした投資業務を行う大和PIパートナーズ株式会社と間伐材等の未利用材を燃料として活用する木質バイオマス発電所の開発、及びコンサルティングサービスを提供するグリーン・サーマル株式会社により共同で設立された木質バイオマス発電事業。
ボイラーはタクマ製の流動床式を採用しており発電出力は6,250kW。
燃料は山形県内の山林に放置されている林地残材、間伐材等の未利用材を使用。
当発電所では現在実施されている省エネとしてファン、ポンプ類のインバーター化、冷却水ポンプの台数制御などが紹介されていました!
冬場の気温低下時は二台稼働が前提の冷却水ポンプを一台運転とすることで、省エネルギー効果を得ているそうです。
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【2018年7月運開】サミット酒田パワー
住友商事100%出資子会社の新電力サミットエナジーが設立したバイオマス発電所。当発電所の他にグループ会社として愛知県にサミット半田パワー(75,000kW)が存在する。
ボイラーは住友重機械工業製の循環流動層式を採用しており発電出力は50,000kW。
燃料には山形県産の木質チップの他、輸入ペレット及び補助燃料に石炭も使用する。
2021年12月15日よりふるさと納税の返礼品として再エネ由来地場産電気の取扱いを始めた。
※一時期、ふるさと納税の返礼品には電気は該当しないとされていたが、その後再エネ導入推進の国内外の空気を受け認められるようになった。
適用を受けるには返礼品受取人がまず対象エリア内(主に東北・関東地方)に住んでおりPPSのサミットエナジーの対象プランに加入する必要がある。納税には1万、5万、10万コースがあり、それぞれ3割を返礼品としている。(1か月3000円を上限として毎月の電気代が差し引かれる仕組み。5万コースなら1万5千円分が毎月3000円、5か月間電気代が差し引かれる)
電気技術者試験センターの「活躍する電気技術者たち」に当発電所所長を務めている方のコラムが載っていました。
近隣にある酒田共同火力発電所を定年まで勤めてこちらに入社したそうです。こういった凄い技術者さんが僕の会社にもいてくれれば・・・
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【2018年12月運開】もがみバイオマス発電
株式会社柿﨑工務所および株式会社新庄・鈴木・柴田組、株式会社はながさ建設および株式会社カキザキの4社の出資により設立された木質バイオマス発電事業。
ボイラーはタクマ製を採用しており、炉形式は不明だが起動用熱風炉の写真があったため恐らく流動床式と思われる。発電出力は6,800kW。
燃料は間伐材等の未利用材や山林に放置されている林地残材、および製材端材などを使用
燃料供給事業を柿﨑工務所グループのマルカ林業株式会社が行うこととなっており、燃料供給から発電まで柿﨑工務所グループが一貫して行っている。
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【2022年7月運開】山形バイオマスエネルギー
山形県の建設業・産業廃棄物処理業の㈱荒正と不動産業の㈱ヤマコーなどがバイオマス発電の新会社として設立した。
ボイラーはテスナエナジー製のガスエンジンを採用しており木材チップをそのまま燃料とするのではなく、高純度の木炭を作った上で高温の蒸気と反応させて水素を発生させ、燃料としている。発電出力は1,960kW。
2019年2月の試運転中、ガスレシーバタンクの爆発によりタンクの金属蓋が吹き飛び、民家の壁を破り、この衝撃による落下物で近隣住民1人が負傷する事故が発生している。
また、これにより木質バイオマスのガス化プラント事業の専業メーカーだったテスラエナジーの資金繰りが悪化し倒産した。
事故の影響で近隣住民からは不信や不満から稼働反対意見が相次ぎ操業を一時休業していたが、その後の情報によると2022年7月に運開し求人も出ている。
事故の詳細を記している方のブログ
山形県のバイオマスガス化発電所の水素タンクの爆発(原因)今回は、2019年2月6日(水)、山形県上山市金谷にある山形バイオマスエネルギー社のバイオマスガス化発電所の水素タンク(生成ガスホルダー) で起こった 爆発の原因について紹介する。 < 発災施設の概要 > ■ 発災があったのは、山形県上山市(かみのやま市)金谷の工業...
あくまで噂ですが建設工期が遅れに遅れて当初の計画より2年延期していたそうで、かなり突貫工事や試運転が進んでいたのでは・・・?ということでした。
工程が遅れると焦る気持ちは痛いほどわかりますが、ガス系のプラントは事故を起こすと広範囲に被害が出るということを今一度心に刻んでいてほしいですね。
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【2024年運開予定】鳥海南バイオマスパワー
東北電力をメインの出資として、メガソーラーなど再生可能エネルギー事業に取り組むオリンピア、静岡ガス&パワーなどが共同で設立したバイオマス発電所。
名前の読みは「ちょうかいみなみ」で遊佐(ゆざ)町に建設が始まっている。
ボイラーは三菱重工製を採用しており、炉形式は不明だが規模的に恐らく循環流動層式ではないかと推測。発電出力は52,900kW。
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