当記事では公開日時点でのFIT認定されている1,000kW以上の各バイオマス発電所の情報や、公開されたことのある求人などをまとめています。(※木質チップ系燃料を使用した発電所に限定している為、木質系燃料由来のガス化エンジンやディーゼル発電所は掲載していますが、廃棄物由来のメタンガスを利用したバイオガス発電やパーム油発電所、ごみ焼却所等は除外しています。)
一応、建設予定のバイオマス発電所についても建設予定が確定していたり、情報が明確に開示されているものはなるべく載せていきます。
今回は九州地方7県(福岡県、大分県、佐賀県、長崎県、宮崎県、熊本県、鹿児島県)のうち、宮崎県のバイオマス発電所についてご紹介します。
現在FIT認定されて運転している宮崎県のバイオマス発電所は、僕の調べた所約11件ほどになっています。
燃料の略称はWC:木質チップ(未利用材、一般木材、建築廃材含む)、WP:木質ペレット、PKS:ヤシ殻となっています。
宮崎県
【2005年9月運開】南宮崎ウッドパワー
資源循環利用推進型林業構造改善事業として国や県を始めウッドエナジー協同組合らが共同出資で誕生したバイオマス発電所。
燃料にはバークやおが屑、製材廃材などを使用。
ボイラーは正熊機械製のストーカ炉を採用しており発電出力は1,300kW。
発電した電力は同敷地内にある集成材工場などの自家消費及び蒸気は乾燥プラントの熱源などにも利用され、余剰分は売電される。
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FIT制度が始まる前から熱電併給方式で運転してきた歴史あるバイオマス発電所ですね!
こうした所ならしっかり設備保全さえしていればFITに頼らず末永く続いていけそうです。
【2006年7月運開】延岡発電所
旭化成ケミカルズと新日鉄エンジニアリングが共同で設立した旭化成エヌエスエネルギー(株)により運営されている火力発電所。
運開当初は石炭専焼だったが、2007年度より樹皮、間伐材や木屑等を加工したバイオチップ、バイオペレット等の木質バイオマスを石炭と混焼するための発電設備の改良工事を行い、2007年12月に完了。2008年より混焼による運転を行っている。
ボイラーは三菱重工製の微粉炭式を採用しており発電出力は50,000kW。
【2015年2月運開】グリーンバイオマスファクトリー
九電工、山下ホールディングス、キューコーリースの共同出資で設立した森林パワーホールディングスが運営する発電所。
グループ企業には同県川南町の宮崎森林発電所及び川南バイオマス発電所がある。
燃料には宮崎県内を中心とした山林未利用材を原料とした木質チップを使用する。
ボイラーは住友重機械工業製の循環流動床式を採用しており発電出力は5,750kW。
求人情報
【2015年3月運開】王子グリーンエナジー日南
王子ホールディングスの 100%子会社である王子グリーンリソースが100%出資で誕生したバイオマス発電所で、王子製紙日南工場内に建設されている。
燃料には国内の間伐材や残材、製材廃材などを木質チップ化したものや輸入PKSらを使用する。
ボイラーは住友重機械工業製の循環流動床式を採用しており発電出力は25,400kW。
http://www.oji-green.co.jp/business/pdf/OjiGreenEnergyNichinan_light.pdf
運転員は地元で雇用したとあるが、王子製紙社員か直接雇用か等の情報は見つけられず。
【2015年4月運開】宮崎森林発電所
九電工、山下ホールディングス、キューコーリースの共同出資で設立した森林パワーホールディングスが運営する発電所。
グループ企業には同県川南町の川南バイオマス発電所や都農町のグリーンバイオマスファクトリーがある。
燃料には宮崎県内を中心とした山林未利用材を原料とした木質チップを使用する。
ボイラーは住友重機械工業製の循環流動床式を採用しており発電出力は5,750kW。
求人情報
宮崎県のバイオマス発電所は九州でもトップクラスに多いのですが、最低賃金は全国ワースト3に入るほど低い影響か、求人情報を見ていても給料はかなり低めな印象を受けます。
どうせ同じような仕事をするなら賃金高めの所で働きたいですよね・・・
【2015年4月運開】中国木材日向第1発電所
木材最大手の中国木材が設立したバイオマス発電事業で中国木材日向工場敷地内に建設されている。
燃料にはバークや建築廃材、間伐材の他工場の製材で発生するおが粉等を使用。
ボイラーはタクマ製で将来的に燃料変換も見越してストーカ炉を採用しており発電出力は18,000kW。
求人情報
中国木材工場内のバイオマス発電所は乾燥用蒸気などを工場内で使用することが多いんですが、この日向発電所では全量売電している模様です。
【2018年5月運開】大生黒潮発電所
再生可能エネルギー事業などを手掛けるシン・エナジー(神戸市)のほか、南那珂森林組合、大王テクノ、南国殖産の出資したSPC(特定目的会社)「くしま木質バイオマス」が事業主体により設立された小規模バイオマス・ガス化発電所。
燃料は地元の未利用材を加工した木質ペレットを使用し、隣接されたペレット製造工場から供給される。
この他、串間内で開業する温泉施設などにも同工場のペレットを供給する見込みとのこと。
ボイラーにはドイツのブルクハルト製の熱分解ガス化CHPを190kW/1基を10基導入。
EPC及びメンテナンスはシンエナジーが担当し、運転管理は大王テクノが業務委託されている。
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【2023年6月運開】川南バイオマス発電所
九電工、山下ホールディングス、キューコーリースの共同出資で設立した森林パワーホールディングスが運営する発電所。
グループ企業には同県川南町の宮崎森林発電所及び都農町のグリーンバイオマスファクトリーがある。
燃料には宮崎県内を中心とした山林未利用材を原料とした木質チップを使用する。
ボイラーは住友重機械工業製の循環流動床式を採用しており発電出力は5,750kW。
森林パワーホールディングスが運営するグループ発電は全て同じ出力とメーカー・炉型で統一しているようです。
発電所単体の求人情報は見つけられなかったものの、恐らく隣接している宮崎森林発電所と同じような待遇と思われる。
【2023年運開予定】MTエナジー
元明(がんみょう)運送が主体で地元企業19社が参画して設立されたバイオマス事業。
燃料は地元のチップ業者30社以上が協力し間伐材や林地残渣を集荷する。
ボイラーは住友重機械工業製の小型循環流動層式を採用しており発電出力は5,750kW。
当初は2023年春ごろを目途に運開を目指していたが現在の動向は不明。
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【2023年運開予定】中国木材日向第2発電所
木材最大手の中国木材が設立したバイオマス発電事業で第1発電所と同じく中国木材日向工場敷地内に建設されている。
燃料にはバークや建築廃材、間伐材の他工場の製材で発生するおが粉等を使用。
ボイラーはタクマ製で将来的に燃料変換も見越してストーカ炉を採用しており発電出力は14,500kW。
中国木材工場内のバイオマス発電所は乾燥用蒸気などを工場内で使用することが多いが、日向発電所では1,2号機共に全量売電している模様。
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【2024年11月運開予定】日向バイオマス発電所
伊藤忠、大阪ガス、東京センチュリーの共同出資で誕生したバイオマス発電所。
燃料は国内材及び輸入PKSを使用。
ボイラーは三菱重工製の循環流動層式を採用しており発電出力は50,000kW。
発電所運開後の運営・保守は東京エネシスが行う。
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森林面積も多く林業も盛んな宮崎県は、九州でも有数のバイオマス発電所数を誇ります!
ただ、増えすぎて流石に県内でも燃料の供給面で不安定になっている発電所もあるので今後の動向が気になりますね。
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