当記事では公開日時点でのFIT認定されている1,000kW以上の各バイオマス発電所の情報や、公開されたことのある求人などをまとめています。(※木質チップ系燃料を使用した発電所に限定している為、木質系燃料由来のガス化エンジンやディーゼル発電所は掲載していますが、廃棄物由来のメタンガスを利用したバイオガス発電やパーム油発電所、ごみ焼却所等は除外しています。)
一応、建設予定のバイオマス発電所についても建設予定が確定していたり、情報が明確に開示されているものはなるべく載せていきます。
今回は近畿地方2府5県(三重県、滋賀県、京都府、大阪府、奈良県、和歌山県、兵庫県)のうち、大阪府、奈良県、和歌山県のバイオマス発電所についてご紹介します。
現在FIT認定されて運転している近畿地方のバイオマス発電所は、僕の調べた所大阪府が3件、奈良県が3件、和歌山県が4件ほどになっています。
燃料の略称はWC:木質チップ(未利用材、一般木材、建築廃材含む)、WP:木質ペレット、PKS:ヤシ殻となっています。
大阪府
【2006年7月運開】バイオエタノール事業所
大栄環境グループのDINS関西(合併前はDINS堺)が保有するバイオエタノール製造事業所に建設されたバイオマス発電所。
プラント内で使用する電気や熱源を賄い余剰分を売電する。
燃料は主に建築系廃材で、エタノール製造用の燃料にならない選別された燃料をバイオマス発電所で使用している。
ボイラーはよしみね製のストーカ炉を採用しており発電出力は1,950kW。
求人情報は見つからず。
【2007年12月運開】日本ノボパン工業堺工場
パーティクルボードの製造を手掛ける日本ノボパン堺工場にあるバイオマス発電施設。
燃料には工場で原料にできないチップを選別した建築廃材などを使用。
ボイラーはタクマ製の流動床式を採用しており発電出力は6,500kW。このうち蒸気や電力は堺工場内で消費され、余剰分をFITにて売電している。
発電所の運営は日本ノボパン工業の従業員にて行っている。
求人情報
【2015年11月運開】BPS大東 龍間発電所
大阪市を中心に木質資源を有効活用した地産地消型エネルギー事業を手掛けるTJグループホールディングスにより設立されたバイオマス発電所。
燃料には公共から発生する建築廃材や未利用材などを使用し、(株)都市樹木再生センターにより集荷・チップ化され発電所へ供給される。
ボイラーは住友重機械工業製の循環流動床式を採用しており発電出力は5,750kW。
大阪も神奈川や名古屋と同じく、森林資源の少ない都市なので公共から排出される建築系廃材や剪定材を利用した都市型バイオマス発電所が多いですね!
求人情報
以下はBPS大東の口コミ情報です。
最近の求人情報では勤務体制が3交代勤務になっていますが、以前の口コミを見ると2交代だったようです。
奈良県
【2015年12月運開】クリーンエナジー奈良
産廃処分業や運搬業などを手掛けるITOグループが立ち上げた奈良県初のバイオマス発電事業。
燃料は自社で集荷・チップ化した未利用材や一般木材などを使用する。
ボイラーはよしみね製のストーカ炉を採用しており発電出力は6,500kW。
発電所とは関係ないですが、この事業を行っているITOのリサイクル工場では2016年近辺で死亡事故が相次いで起こったことで、会社が労働安全衛生法違反の疑いで書類送検されています。
求人情報
以下は口コミサイトの情報です。散々に書かれていますが、正直弊社含めてどこもこんなもんだと思います💧
【2023年12月運開予定】木質バイオマス五條発電所
元衆院議員の亀井静香が会長を務めるMJSソーラーが県内の林業事業者らをスポンサー企業として設立した合同会社。
燃料には県内の未利用材や一般木材を使用する予定。
ボイラーや炉型は不明で発電出力は10,000kW。
情報が少ないものの、奈良県でバイオマス発電事業を行っているクリーンエナジー奈良が五條発電所の求人を出している為、保守運営などをクリーンエナジー奈良と協力している可能性あり。
求人情報
【2025年4月運開予定】BPSいこま
TJグループホールディングス株式会社TJグループホールディングスが行うバイオマス発電事業で、NTTアノードエナジー、住友林業、長谷工コーポレーション、東京センチュリー、フォレストエナジー、モリショウも共同参画する。
使用燃料は近隣で発生する木質廃棄物や未利用材。
ボイラーは住友重機械工業製の流動床式を採用しており発電出力は9,980kW。このうち発電した電力の約25%を固定価格買取制度(FIT)に基づき売電、約75%をFITに依存しない非FIT電力として脱炭素を目指す自治体の公共施設や民間企業に供給する。
和歌山県
【2020年6月運開】DSグリーン発電和歌山
大和エナジー・インフラとグリーンサーマルの共同出資で誕生したバイオマス発電事業。
燃料には地元の間伐材を使用する。
ボイラーは三菱製の流動床式を採用しており発電出力は7,100kW。
発電所の運営はグリーンサーマル子会社のグリーンサーマル和歌山が委託されている。
求人情報
【2021年11月運開】新宮フォレストエナジー
フォレストエナジー㈱を主出資者とし、㈱NTTファシリティーズ、㈱モリショウ、TJグループホールディングス㈱、前田商行㈱らの共同出資にて設立されたバイオマス発電所。
燃料は紀南地域から未利用材の原木を集材、自社工場でウッドチップに加工し供給される。
ボイラーはオーストリアにあるSyncraft Engineering(シンクラフト エンジニアリング)製の熱分解ガス化CHP450kW×4台を採用しており合計発電出力は1,764kW。電気だけでなく温水による熱供給も行なっている。
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【2022年3月運開】エフオン新宮発電所
エフオン子会社のエフオン第五による事業。
使用燃料は一般木材や間伐材など。
ボイラーは荏原製の独自技術である内部循環流動床式を採用しており発電出力は18,000kW。
発電所の保守運営はエフオン子会社のエフバイオスが行う。
建設時に購入した土地から違法投棄された溶融スラグやコンクリートなどが大量に出土するというトラブルに見舞われた。
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【2025年9月運開予定】和歌山御坊バイオマス発電所
JAG国際エナジー、大阪ガス、SMFLみらいパートナーズの共同出資で設立されたバイオマス発電所。
燃料は輸入ペレット及びPKSを使用する。
ボイラーメーカは不明で循環流動床式を採用しており発電出力は50,000kW。
発電所の保守運営はDaigasガスアンドパワーが担当する予定。
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