当記事では公開日時点でのFIT認定されている1,000kW以上の各バイオマス発電所の情報や、公開されたことのある求人などをまとめています。(※木質チップ系燃料を使用した発電所に限定している為、木質系燃料由来のガス化エンジンやディーゼル発電所は掲載していますが、廃棄物由来のメタンガスを利用したバイオガス発電やパーム油発電所、ごみ焼却所等は除外しています。)
一応、建設予定のバイオマス発電所についても建設予定が確定していたり、情報が明確に開示されているものはなるべく載せていきます。
今回は九州地方7県(福岡県、大分県、佐賀県、長崎県、宮崎県、熊本県、鹿児島県)のうち、大分県、佐賀県、長崎県のバイオマス発電所についてご紹介します。
現在FIT認定されて運転している各県のバイオマス発電所は、僕の調べた所大分県が6件、佐賀県が3件、長崎県が1件になっています。
燃料の略称はWC:木質チップ(未利用材、一般木材、建築廃材含む)、WP:木質ペレット、PKS:ヤシ殻となっています。
大分県
【2002年4月運開】新日鉄住金大分製鉄所9号ボイラー
新日鉄住金大分製鉄所で稼働中の4~10号ボイラーのうち、2002年に運開した9号ボイラーについては当初石炭や炉ガスを燃料としていたが、FIT制度開始以降の2014年12月より火力発電設備において地域で発生する未利用材を破砕処理した木質チップの混焼を開始した。
ボイラーは三菱重工製の微粉炭式を採用しており発電出力は330,000kW。
新日鉄の従業員で運営していると思われる為、発電所単体の求人は見当たらず。
【2006年11月運開】エフオン日田
エフオングループの100%出資で立ち上がったバイオマス発電所。グループ企業には福島のエフオン白河、栃木のエフオン壬生、和歌山のエフオン新宮、同じ大分県内のエフオン豊後大野らが存在する。
燃料は未利用材・一般木材の他建築廃材も使用する。
ボイラーは荏原製の独自技術である内部循環流動床式を採用しており発電出力は12,000kW。
保守運営はエフオン100%子会社でバイオマス発電所の運営管理、燃料の収集・販売事業を手掛けるエフバイオスが行う。
求人情報
【2013年11月運開】グリーン発電大分
プラント設計や木くずの収集・運搬事業などを手掛ける(株)モリショウが100%出資して誕生したバイオマス発電所。
発電所の運転開始後、同じモリショウグループとして地域新電力「日田グリーン電力株式会社」を設立。2016月4月より日田市役所や小中学校など公共施設に供給開始し、現在では九州内の民間企業にも販路を拡げている。発電所の余熱は、隣接するいちごのビニールハウス栽培に利用されている。
ボイラーは住友重機械工業製の循環流動床式を採用しており発電出力は5,700kW。
求人情報
【2016年7月運開】エフオン豊後大野
エフオングループの100%出資で立ち上がったバイオマス発電所。グループ企業には福島のエフオン白河、栃木のエフオン壬生、和歌山のエフオン新宮、同じ大分県内のエフオン日田らが存在する。
燃料は未利用材・一般木材の他建築廃材も使用する。
ボイラーは三菱重工製の流動床式を採用しており発電出力は18,000kW。
保守運営はエフオン100%子会社でバイオマス発電所の運営管理、燃料の収集・販売事業を手掛けるエフバイオスが行う。
求人情報
【2016年10月運開】イーレックスニューエナジー佐伯
電力トレーディング業務を手掛ける新電力のイーレックスにより立ち上げられたバイオマス発電所で、セメント工場跡地の遊休地に建設された。
燃料は輸入PKSを100%使用する。
ボイラーはJFEエンジニアリング製の循環流動床式を採用しており発電出力は50,000kW。
求人情報
バイオマス専焼としては大分県内最大級のバイオマス発電所です!!
【2021年7月運開】大分バイオマスエナジー
タカフジ主導で九電みらいエナジー、大分瓦斯(ガス)、三菱UFJリースの共同出資で設立されたバイオマス発電所。
燃料には国産チップの他輸入PKSも使用する。
ボイラーは三菱重工製の循環流動床式を採用しており発電出力は22,000kW。
求人情報はホームページに記載があるものの、現状は募集していない模様。
佐賀県
【2016年3月運開】中国木材伊万里発電所
製材や集成材、プレカットを手がける大手総合木材企業の中国木材(株)が設立したバイオマス発電所で、伊万里事業所敷地内に建設されている。
使用燃料はバーク、乾燥おが粉、未利用チップなど。同グループである中国木材伊万里工場内に立地。製材工場で発生するバークや端材などを活用する。それ以外にも自社工場(同敷地)をメインとし、外部より佐賀、長崎、福岡、熊本の4 県から調達。
ボイラーはタクマ製のストーカ炉を採用しており発電出力は9,850kW。
同社では、“多能工化”を人材育成方針としているとのことで、これは発電オペレーター、燃料投入、蒸気ボイラーのオペレーター、破砕設備の運転など、発電所運営に関わる一通りの作業をローテーションで身に着けることで、多能工として育成していくという教育方針。
多能工の場合、万が一、突発的に欠勤が発生した場合の対応も容易であり、兼務も可能であるため、より少ない人員で運営が可能で、更にローテーションには“慣れ”を生じさせない効果もあり、事故や異常の見落としは慣れによる心理的要因も働くため、担当を交代することは常に新鮮な目で点検を行うことにつながるという。
【2023年10月運開予定】唐津バイオマスエナジー
宮崎県の(株)イノセント主導で設立されたバイオマス発電所。
燃料には主にPKSを使用する。本来は2019年度に運開する予定だったが4年も繰り延べている。
EPCは東洋エンジニアリングが行いボイラーはアンドリッツ社製の循環流動床式を採用。発電出力は49,900kW。
求人情報
4年も繰り上げたのは設計変更によるものと言う情報があり、当初は輸入ヤシ殻を燃料にした出力2万5千キロワットの発電所を計画していましたが、出力を5万キロワットに増強し、ボイラーの冷却方法を水冷から空冷に変更することなどで工期が遅れるということです。
【2025年5月運開予定】伊万里グリーンパワー
テスHD100%出資。当初は2014年秋にPPS事業を手掛ける日本新電力が立ち上げ2016年に立ち上げる予定の事業だったが、その後PPSが撤退し事業は凍結。その後テスHDにより再度浮上した案件。
燃料には輸入ペレットやPKSの他EFB(パームヤシの房)も使用。
ボイラーは三菱重工製の循環流動層式を採用しており発電出力は46,000kW。
求人情報はまだ確認できず。
長崎県
【2012年9月運開】豪力バイオマス発電所
アぺシオングループが行う環境リサイクルエネルギーの敷地内にあるバイオマス発電所で、燃料には建築廃材の他、廃プラ廃ゴムなどを使用するので廃棄物処分施設の側面が強い。
ボイラーは近藤設備製のストーカ炉を採用しており発電出力は2,750kW。
九州地方は林業が盛んなイメージで他県でも少なからずバイオマス発電所は建設されているので、長崎県だけ1件、しかもFIT制度開始以降の新設は0件というのは意外でした・・・
バイオマス発電所の建設に向かない特別な理由でもあるのでしょうか?
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