バイオマス発電所のお仕事【運転員の仕事内容②】

バイオマス発電について

前回に引き続きバイオマス発電所で働く運転員の仕事の話です。

今回は「どこのバイオマス発電でも行ってはいるけど、必ずしも運転員が担当するとは限らない」

という業務を紹介していきます!

会社によっては運転員が行う業務

僕が3社経験してきた中でも下記の業務は運転員が行う他、保全員や事務員が行ったり、そもそも業務としてやってなかったりとそれぞれ担当が違っていました。

  • 補機類試運転、切り替え

発電所に備え付けられているポンプ類は、1台が故障しても運転継続できるよう2台併設されていることが多く、1台が運転中はもう1台が予備機として待機している状態になっています。

前述したとおり発電所は年に数回しか停止しない為、ポンプが正常に運転していれば予備機はずっと待機状態のままとなってしまうので、予備機側が正常に動作するか?という確認も兼ねて定期的に予備機と運転機を切り替え操作します。

僕が勤めていた職場では全て運転員が行っていたので、恐らくほとんどのバイオマス発電所では運転員が担当する業務だと思いますが、出張先のバイオマス発電所ではこの業務自体やってないという所もありました。

  • 燃料受け入れ、投入作業

バイオマス発電所の燃料となる木質チップは10~20tトラックで搬入され自社内で保有するチップヤードに保管されます。

この時搬入されたチップがどこの業者が何t持ってきたか?という受け入れ業務に関して運転員が対応する場合があります。
大きめのバイオマス発電所だと数が多くなるので総務や燃料課といった専門部署が担当することもあります。

また炉内に燃料を搬送する木屑コンベアへはホッパーに貯蔵された木屑が払い落とされて搬送されるのですが、このホッパーへの木屑投入をホイールローダーの重機で行う発電所では運転員がこの投入作業を担当します。

この作業も規模の大きな発電所では専門部署や外注業者が対応したり、クレーンやリクレーマと呼ばれるスクリュー式の払出装置で自動供給されたりします。

  • 砂排出

バイオマス発電所には高温の砂を空気で流動させて、燃料である木屑を摩擦熱によって燃焼させる流動層方式のボイラーがあります。

木屑には土や異物が混入しているので、そういったボイラーに燃料を投入していると炉内に余計な砂や異物がどんどん堆積していってしまいます。

よって定期的に砂や異物を抜き出すため、炉内の圧力が上がってきたら随時「砂排出」という火炉の底から砂や異物を抜き出す操作を行います。

排出された砂はスクリーンで粒径の小さい砂と粒径の大きい異物に分別されて、それぞれの場所へ貯留されます。

この作業は24時間どのタイミングでも行う必要があるので運転員の仕事ではありますが、流動層ボイラー以外ではこの作業は必要ありません。

  • 異物撤去作業

先ほどの砂排出作業をすると、砂の他にも釘などの鉄くずや大きい石のような異物が排出されます。

こういった異物はそれぞれの異物箱に貯留されていくのですが、この異物箱はあまり大きなものでもないので一杯になる前にフォークリフト等を使用して別のコンテナに捨てていきます。

異物の排出は砂排出作業が無いストーカー式や循環流動層式でも行う必要がありほぼ運転員の仕事ではありますが、製紙会社時代は別の協力会社の方がやってくれていたので必ずしも運転員の仕事ということは無いと思います。

  • 灰払出

燃料を燃やすと少なからず灰が発生します。
炉内で発生した灰はファンによって煙突まで引っ張られますが、そのまま煙突から排出すると大気汚染となってしまうので、排出される直前にバグフィルタと呼ばれるろ布で灰を除去しています。

ここで除去された灰は一旦貯留用タンクに溜められた後、産廃などのトラックに引き取られていきます。

この時にトラックへ灰を排出する作業を行うのですが、この作業を運転員が行う場合があります。

トラックへ灰を載せすぎると過積載となり引き取って貰えないので、その辺りに注意しながら何分払い出せばどれだけの灰が出るかを計算しながら払出時間を決めて現場の払出装置を運転し、タンクから灰がしっかり出ているか、加湿用の水が出ているか等も確認します。

会社によっては灰引取り業者が自分で操作したり、別の部署が対応していたりする所もあります。

  • 薬品補充

バイオマス発電所ではボイラーの給水や冷却用水に水質を管理する為の様々な薬品を添加しています。

その薬品はタンクから薬注用ポンプで24時間常に注入されているので定期的にタンクへ薬品を補充する必要があります。

よって薬品タンクの残量を確認して補充を行うという仕事に関してはほとんど運転員が行っている場合が多いですが、僕のいた会社では薬品を納品した業者が補充まで行ってくれる所もあります。

  • グリスアップ

現場で回転している機器にはグリスと呼ばれる潤滑油が入っており、回転部分の摩耗や焼き付きを防止しています。

このグリスは定期的に新しい物を注入するグリスアップと言う作業をするのですが、小さな発電所であればこの作業を運転員で行う所があります。

グリスアップする機器の多い大きな発電所では運転員では手が回らないので保全課のような専門部署や外注業者に発注する所、もしくはそもそもグリスアップしない(1年に1回定検で補充)なんて会社もあります。

最後に

僕が3社経験して分かったこと

「規模の大きな発電所ほど設備の自動化と業務の細分化がされていて運転以外することがない」

僕は製紙会社時代に経験した比較的大型のバイオマス発電所と転職先の中型バイオマス発電所を経験しているのですが、運転員一人当たりの業務量としては中型バイオマス発電所の方が多岐にわたります。

製紙会社時代は運転員の仕事は前回の記事に上げた最低限の必須業務のみで他の業務は全て他部署や協力会社が行っていたので、中規模のバイオマス発電所へ転職した際はその業務量の多さに最初驚きました。

これに関しては中~小規模バイオマス発電所の人的余裕の無さが如実に表れており、数を最小限に留めてそこにいる人がやれるだけやるって感じで仕事を回している状態でした。

でも何でも自分たちで解決するという気持ちや現場の知識に関しては圧倒的にそこで身に付くことが多く現在の職場でも役立つスキルとなっているので、どうせ経験するならそういった発電所の方が自分の為にはなるんじゃないかと思います。

チャーメン
チャーメン

年を取ったら、出来ればもう少し業務量の少ない発電所の運転員としてのんびり最期を迎えたいものです・・・

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