どうする!?炉内温度が上がらない

トラブル

こんにちは!チャーメンです。

バイオマス発電所では木屑を炉内で燃焼させて、その熱で水を蒸発させることで蒸気を発生させています。

炉内で木屑が燃えている所の温度は、大体どの発電所でも800℃~850℃程度が基本だと思います。
石炭などを燃やすと炉内温度は1,000℃近くまでいくそうですが、木屑は水分も多く石炭より発熱量が少ないのでそこまで炉内温度が上がることはありません。

冬場は乾燥していて木屑でも燃えてくれるのですが、6月に入って雨季になってきたりすると水分率60%越えなんていう木屑も入荷してきて炉内温度がなかなか上がってきてくれません。

炉内温度が上がらない時の対処方法

・カロリーの高い燃料を炉内に入れる

最も効果的なのは、水分率が低く熱量が高い燃料を入れることです。
木質系の燃料ではPKSと呼ばれるヤシ殻や木質ペレットなんかだと、非常に高カロリーのため温度回復に効果的です。

水分率の高いチップのせいで炉内温度が下がっているので水分率の低い燃料に切り替える。当たり前ではありますが一番確実な方法ですね。

ただ、現在の市場では輸入材であるPKSや木質ペレットはとんでもない高騰をしており大手企業が独占状態にあるので、弊社のような小・中規模の発電所で助燃料に使用する程度ではほとんど手が出ない燃料となってしまっています。

・炉内の砂の量を変える

流動層ボイラーと言うのは中で流動している高温の砂と燃料が接触し、表面から摩耗していく時の摩擦熱により燃焼させる・・・という方式です。

よって、燃料供給量だけでなく流動砂の状態によっても炉内の燃焼温度は変化します。

具体的には、炉内温度を上げたい場合は流動砂の量を通常より少なくする。逆に炉内温度を下げたい場合は流動砂の量を通常より多めにします。

・空気量を変更する

燃料の燃焼に必要な3つの条件は「燃料」「温度」そして「空気(酸素)」です。
よってこの空気の量を調整することでも炉内温度を変化させることが出来ます。

流動層ボイラーの空気には炉内で砂を流動させながら燃料を燃焼させるための1次燃焼用空気、その後燃焼しきれず巻き上がった未燃分の燃料を炉内の上部で燃焼させるための2次燃焼用空気に分かれます。

通常は燃料の不完全燃焼を防ぐため燃焼用空気は理論上必要な空気量の1.2~1.3倍程度多めに入るよう設定されています。

炉内温度を下げたい場合はこの燃焼用空気をもう少し過剰に入るよう設定すれば、冷却効果により炉内温度を下げることが出来ます。

それでも上がらない場合は?

弊社でも炉内温度が800℃を切る現状に悩まされており色々策を講じていますが、中々うまくいっておりません。

上記のような対策を講じても炉内温度が上がらない場合は炉内に何か原因があるかもしれません。

・炉内でクリンカやアグロメレーションが起きている

燃料が燃焼すると未燃分は灰となり炉外へ運ばれますが、この時燃料の成分によっては灰が溶融して炉内に空気を投入するためのノズルを閉塞させるクリンカと呼ばれるものを形成したり、砂粒子同士を塊状に固着させるアグロメレーションというものが出来てしまい、炉内に均等に空気が入らず砂がうまく流動しない流動不良を起こすことがあります。

・水管のプロテクターにより熱交換がうまくいっていない

流動砂の中には砂と水管を接触させて熱交換し水を蒸発させるための水管が入っていますが、砂と接触することで水管が摩耗し破孔することを防ぐために水管にプロテクターを取り付けることが多いです。

このプロテクターにより摩耗は防げるのですが、水管と砂の熱交換が反って阻害されてしまうことが考えられます。

弊社では現在、高カロリー燃料は使用できない為砂の量や空気量の変更で騙し騙し乗り切っている最中ですが、こういったトラブルになっている可能性も否定できませんね。

もしこうした事象が発生していても確認しようがないし対策も出来ませんが・・・

チャーメン
チャーメン

定期点検を4月に行ったばかりなのでいきなりこういった事象が発生すると厳しいですが、何とか来年まで1年間無事に運転できるよう注意していこうと思います!

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